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伊藤和也さんは他のNGOに殺された by 藤永 茂

伊藤和也さんは他のNGOに殺された by 藤永 茂
http://huzi.blog.ocn.ne.jp/darkness/2008/09/ngo_8401.html


 いささかの躊躇のあと、この挑発的なタイトルを選びました。いま、アフリカの国立公園の私企業化について書いている途中ですが、昨日(9月9日)NHKのニュース番組でアフガニスタンでのNGO (non-governmental organization,非政府組織)の活動についての小特集をみて、しきりに想う所があり、伊藤和也さんの死を悼む一文を草することにします。日本を含めた世界の強大なNGOsに対して、敢えて、蟷螂の斧を振いたいと考えました。これから述べることは全く私個人の意見であって、その内容について誰にも相談していないことを明記しておきます。文責は完全に私にあります。

 2008年8月20日付けのブログ『ジンバブエをどう考えるか(5)』で、私は次のように書きました。:

* 「最近のニュースでは、ジンバブエの国民の多くが餓死しそうになっているのに、ムガベは英米のNGO団体からの緊急食糧援助を拒否しているそうではないか。まさに狂気の沙汰だ」とお考えの方もあると思います。表面を見る限り、まるで馬鹿げた狂気の沙汰です。しかし、ここでも、私個人としては、ムガベの靴に足を入れてみることが出来ます。

ムガベは欧米のNGOから散々煮え湯を飲まされてきました。野党MDCの結成以来、欧米の多数のNGOは援助を選挙の票集めの武器として、積極的にMDCをprop up してきたのです。それにこれらのNGOは直接間接に英国政府や米国政府から資金を得ています。もはや、多くの強力なNGOsは、実は、non-governmental organizationsではないのです。この点も、私たちが世界の現実を見据えるために必須の知識です。

このNGOの問題について、別の所で、興味深い発言に出会いました。アフガニスタンで地道な活動を続けているRAWA(The Revolutionary Association of the Women of Afghanistan)という女性運動団体があります。

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Justin Podur というカナダ人の作家がRAWAの代表者の一人にインタヴューした記事を読んだのですが、RAWAは決して自らをNGOと呼ばず、アフガニスタンで活動しているNGOsに対してきびしいコメントをしていましたので、その一部を原文で引用します。

■Most NGOs that are larger, or bigger aid agencies, are funded by governments and influenced by those governments. The smaller ones often get involved in fraud and corruption - they work not for the Afghan people but for their own purposes. Millions of dollars of funds go to NGOs and wasted in overhead, salaries, office expenses, and so on. They collect huge salaries, they have no long-term projects, they spend huge amounts for security expenses and vehicles.
NGO-ism is a policy exercised by the West in Afghanistan; it is not the wish of the Afgan people. The NGO is a good tool to divert people and especially intellectuals from struggle against occupation. NGOs defuse political anger and turn people into dependent beggars. In Afghanistan people say, the US pushed us from Talibanism to NGO-ism! ■

ペシャワール会を代表してアフガニスタンで奮闘している中村哲さんも、何処かで似たようなことを言っておられました。私たちも、このあたりで、NGOsなるものをよく考え直すべきかもしれません。*

今日は上に引用した英文を訳出します。

■大きくて幅を利かせている援助機関であるエヌジーオーの殆どは政府の資金援助を受け、したがって、政府の影響を受けている。小さい方のエヌジーオーはしばしば詐欺や腐敗に巻き込まれている−つまり、彼らはアフガニスタン人のためにではなく、彼ら自身の目的のために働いている。何百万ドルもの資金がエヌジーオーに注がれるが、それは、サラリーとか、事務費とか、その他あれこれの一般経費として浪費されてしまう。

彼らは巨額のサラリーを懐にし、長期的な計画など持ち合わせず、巨額の資金を身辺警護と自動車両に費やす。

エヌジーオー主義というのは西欧諸国がアフガニスタンで実施している一つの政策であり、アフガニスタンの人々が望んでいることではない。

エヌジーオーというものは人々を、とりわけ知識人たちを、占領反対の闘争から気を逸らさせるためにとても役に立つ道具である。

エヌジーオーは政治的な怒りを骨抜きにし、人々を依存心のつよい物乞いたちに変えてしまう。

アフガニスタンの人々は「アメリカ政府は我々をタリバン主義からエヌジーオー主義に押しやった」と言っている。■


世界中に跋扈するエヌジーオーが金をもらって来るのは各国政府に限りません。ただ一例だけあげましょう。ホリエモンさんを百倍千倍にしたような金融投機家ジョージ・ソロスの主宰するエヌジーオーOSI(The Open Society Initiative)のまわりには「ソロスさん、お金下さい。お供します」と声をあげる沢山のエヌジーオーが蝟集しています。

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上の引用(*・・・*)の中に「ムガベは欧米のNGOから散々煮え湯を飲まされてきました」と書きましたが、実は、“狂気の独裁者”ムガベの打倒に邁進している対抗馬ツァンギライと支持母体MDC(Movement for Democratic Change)の有力な 後ろ盾はソロスのOSIとそれに従うエヌジーオーたちであるのです

 世界の政治的経済的現実の中でのエヌジーオーの本質とは何でしょう。私なりのまとめ方をさせて頂ければ、それは「権力による人民操作(manipulation of people)のアウトソーシング(outsourcing)」です。(引用注:大きくは、アウトソーシング民営化というのは->「世界政府」の傭兵化の流れのなかにあるわけですよね)

政治権力側にとって、アウトソーシングの最大の利点は、責任をうやむやに出来ることです。そのよい例がイラクで活躍しているブラックウオーターなどの傭兵会社です。正規のアメリカ軍兵士が戦死すれば正式に報告しなければなりませんが、金で雇ってきた私企業会社の社員の死にはその必要はありません。ましてや、そうした雇われ兵士が第三世界の貧困社会からのリクルートであれば、処理は簡単です。見殺しにすればそれでよろしい。

同じことは大小のエヌジーオーについても言えることです。ほんの少しばかり話がずれますが、何年か前に、カナダ政府が、慈善事業だからとして税金を免除されていた慈善団体に会計報告を求めたところ、半分近くの団体が慈善団体としての登録を止めてしまったことがありました。この頃はやりの英語でいえば、アカウンタビリティの問題です。

 そこで、私は、すべてのエヌジーオーに対する挑戦として、会計の公開を要求します。エヌジーオーとしての活動資金が何処から来ているか、役員などの給料、事務関係費、特に現場での作業に従事する人々の安全を護るための警護関係費用などを分かりやすく明記して発表することを要求します。(引用注:「宗教団体」にも要求したいです)

 私は伊藤和也さんが属したペシャワール会の維持会員ですが、まったくダメな老人会員で、何のお手伝いもせず、ただ会報を毎号愛読しているに過ぎず、他の会員としては、私にこの真の非政府組織の存在を教えて下さった一女性を知っているに過ぎません。しかし、私は、ペシャワール会が、如何なる政府からも、ジョージ・ソロスビル・ゲーツなどの“大慈善家”からも、びた一文とて受け取っていないことを知っています

 NHKのニュース特集に出演したあるNGOの代表者は、アフガニスタンで最も治安状態が良いと言われている首都カブールでも、エヌジーオーの人間が町中を歩いて移動するのは危険なので、常に自動車を使うこと、車がエヌジーオーのものであることは示さないこと、国連の車でさえ無表示であること、などを語っていました。

 伊藤和也さんの場合はどうだったのでしょうか。私の確かな空想によれば、伊藤さんは、日本から取り寄せて栽培し、子供たちにも大人気のサツマイモを収穫したダラエヌールの畑に立って、そこから望む山々に「“命の水”の源である雪が今年は多く降り積もること」(伊藤和也さん御自身の言葉)を祈っていたその時に襲われたに違いありません。護衛のための傭兵など誰も居なかったのです。誘拐の標的としてこれほど容易な標的はありません。

 土地の人々を援助しているエヌジーオーの要員が四六時中身辺の警護を必要とするという現実が何故アフガニスタンで生じているのか。この責任は、アフガニスタンを占領している外国勢力と、その政策に加担して、タリバンに代わって民心を操作し、そのついでに自己利益もあげようという多くのエヌジーオーが背負うべきものであります。

私が「伊藤和也さんは他のNGOに殺された」と言う理由は将にそこにあります。

藤永 茂 (2008年9月10日)

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by oninomae | 2008-09-14 18:47 | 政治詐欺・政治紛争  

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