沈黙の春再びか? Bt毒素Cry1Ab生産GEトウモロコシによるトビゲラの死
Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 Oct 8; [Epub ahead of print]
Toxins in transgenic crop byproducts may affect headwater stream ecosystems.
Rosi-Marshall EJ, Tank JL, Royer TV, Whiles MR, Evans-White M, Chambers C, Griffiths NA, Pokelsek J, Stephen ML.
Department of Biology, Loyola University Chicago, Chicago, IL 60626;
Corn (Zea mays L.) that has been genetically engineered to produce the Cry1Ab protein (Bt corn) is resistant to lepidopteran pests. Bt corn is widely planted in the midwestern United States, often adjacent to headwater streams. We show that corn byproducts, such as pollen and detritus, enter headwater streams and are subject to storage, consumption, and transport to downstream water bodies. Laboratory feeding trials showed that consumption of Bt corn byproducts reduced growth and increased mortality of nontarget stream insects. Stream insects are important prey for aquatic and riparian predators, and widespread planting of Bt crops has unexpected ecosystem-scale consequences.
PMID: 17923672 [PubMed - as supplied by publisher]
題名: 遺伝子組み替え作物副生産物中の毒素は水源の小川の生態系に影響を与えるかもしれない。 (と控え目だが、題名の学術論文的慎重さは、まあ当然であろう。報告に感謝)
要旨試訳
Bt毒素Cry1abタンパク質を作り出すように遺伝子操作されたトウモロコシ( Btコーン)は、鱗翅目害虫への抵抗力を有している。 Btコーンは、米国中西部で広く栽培されており、多くの場合、給水源の小川に隣接している。
我々は、トウモロコシの花粉や残骸・破片のような副生産物が、水源の小川に流れ込み、貯蔵、消費、そして下流の水の中への輸送を受けることを示す。
実験室での給餌試験は、「Btコーンの副生産物は非標的水棲昆虫の成長を低下させ、死亡率を増加させる」ということを明らかにした。
水棲昆虫は、水中及び水辺の捕食者にとって重要な餌であり、Bt作物の広範囲に及ぶ植栽は予期せざる生態系規模での影響を有する。
要旨は以上。
Dr. Emma J. Rosi-Marshall↑
Assistant Professor
Ph.D. 2002, The Institute of Ecology,
University of Georgia
Stream Ecology
http://www.nd.edu/~tanklab/Emma.htm
誠意ある学者達の研究だと思う。
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この研究結果に関して以下の記事が出ています。一読の価値あり。
Btトウモロコシがトビゲラ→水生生態系に悪影響の恐れ 米国の新研究
農業情報研究所(WAPIC) 07.10.11
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/07101101.htm
一部引用
研究者(達)は、まず第一に、このトウモロコシが出す毒を含む花粉やその他の部位がトウモロコシ畑の近くの川に流れ込むのを確認した。そして、実験室の試験で、Btトウモロコシ副産物の消費がトビゲラの死亡率を高め、また生長を遅らせることを発見した
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この記事は以下の続編です。
破局的な蜂の個体群減少はBt遺伝子を導入したGMO穀物と関連しているかもしれない
http://satehate.exblog.jp/7130669/
遺伝子組み換えとうもろこし モンサント MON863=肝腎毒=毒素攻撃?
http://satehate.exblog.jp/7123833/
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なんにしても、こんなBt毒素を「穀物に組み込んでしまう」とはどういう意図なのか?
生物学者だったレイチェル・カーソンの「沈黙の春」と、それが誰かさん達に攻撃されまくっていたのを思い出します。もちろん、農薬は病原性昆虫駆除等必要な場合もあり、農薬が全面的に悪いなどと言うつもりはないけれど、悪意ある攻撃も多かったと思う。
最後に皮肉: 世の中には病原体保有の蚊を大量に作り出して撒いたりする連中もいるようなので(我が考えでは、こういった連中をイルミナティと呼ぶのである)、その時には農薬に活躍してもらいたい!「弁証法的止揚」でしょうが。(苦笑)
参考
BC兵器とエイズなどに関する50年史
http://homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay/bc_aids.html
1956-1958 アメリカ陸軍が、フロリダ州とジョージア州の黒人貧困層の居住区に黄熱病の蚊を空中撤布。黄熱病の死者発生。
他多数。
こういったことには、何も目を向けないで、脳天気なことを言ってすましているわけにはいきません。
他に、
農薬の陰謀―「沈黙の春」の再来 (1984年) ロバート・バンデンボッシュ 矢野 宏二 (訳)
も推薦。
追記 2007.11.9
農薬使用の野菜・果物が危険だと発言し、殺害された大学教授
http://alternativereport1.seesaa.net/article/65381594.html
ニカラグアでは、農薬DDTの使用で農薬を浴びた農民383人が死亡したケースが報告されている。他の農薬でも、過去にエジプトで数名が死亡、水牛1200頭が死亡、またメキシコでも7名が死亡、689件の中毒患者が報告されている。こうした情報は、アメリカ国務省が現地からの調査報告、警告電報を受け取りながら「隠し続け」、情報公開法により電報資料を農学者達が調査して判明したものである。
政府が隠していたのである (アメリカ国務省 無区分電報 ファイルNO.2632)。
農薬を散布し皮膚に浴びただけで死亡しているケースが、こうして多数報告されている。
その野菜、果物を食べている私達はどうなるのだろうか?
一方、ワシントン州のリンゴ農園では、害虫のハダニの天敵カブラダニを大量に生息させる事で害虫の駆除に成功、4万エーカーの広大な農園で完全無農薬を実現し、無農薬リンゴを出荷している。
またカリフォルニア州バークレーでも、害虫アブラムシの駆除に「複合的な」方法が採用され、成功を収めている。
アブラムシからは糖分を含んだ排泄物が出、それをアリが食べ清掃する事でアブラムシは快適に繁殖する。農産物の根にアリが這い上がれないように粘着テープを貼るだけで、アブラムシの増殖は抑制される。アリが居なくなる事でさらに排泄物の糖分を求め、他の昆虫がアブラムシを捕食するため、アブラムシは激減し、また農薬の代わりに石鹸水を散布する事でアブラムシの体表の油分が分解され、アブラムシの活動が抑止されたと報告されている。
一方、農薬の使用により96%の害虫は農薬への免疫を高め、さらに毒性の高い害虫へと凶暴化したと、カリフォルニア州の食糧農業局は公式に調査結果を出している。
害虫の凶暴化という悪質な「農薬の効果」は、さらに強烈な農薬の製造販売につながる。
こうした農薬の被害、農薬を使わない害虫駆除方法を大々的に公表したカリフォルニア大学の生物学教授部長ロバート・バンデンボッシュは、かねてからロックフェラーの農薬企業モンサント社等から「命を狙われている」と発言していたが、研究発表を大々的に行った数日後、「何者か」によって殺害されている。
以上の情報を自分の命と引き替えに公表したバンデンボッシュ教授の冥福を祈る。
by oninomae | 2007-10-12 23:16 | バイオハザード・GMO食品