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被爆と健康:決定版!!・・・広島・長崎の被爆論文がでました 武田邦彦 + 地震

ちょっと遅れました

被爆と健康:決定版!!・・・広島・長崎の被爆論文がでました
http://takedanet.com/2012/04/post_25e2.html

日本人が「大規模」に被爆し、その健康に関するデータが「長期間」にわたって得られるのは、不幸なことですが広島・長崎のものです。そして、その総合論文が今年(2012年)、放射線影響研究所からでました。被爆と健康に関する研究ではもっとも権威のある機関でもあります。

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福島原発で多くの人が被爆している最中ですから、本来ならこの論文は毎日のようにテレビ、新聞で報道され、解説されているはずですが、論文内容が「政府に都合が悪い」ということで、ほとんど報道されていません。

なぜ、この論文が政府に都合が悪いかというと、

1) 「これ以下なら安全」という「閾値(しきいち)」がないことを明確に示していること、

2) 低線量被爆でも「被曝量と病気の発生」には比例関係が認められること(直線近似が成立すること)

3) 福島の小学生が被爆した、20ミリシーベルトで子供がガンになる可能性は100人に2人程度と高率になること、


が明らかになったからです。現時点で専門家でこの論文の結論と異なることをいうことはできないでしょう。科学者や医師は事実に忠実ですから。

もともと、日本の法律で「被曝限度は1年1ミリ」と決まっていたり、チェルノブイリの時に1年5ミリ以上の地域が強制退去地域になっているのは、断片的ですが、この論文と同じ知見がかなり多かったことによります。もちろん「1年100ミリ以下はデータがない」などは完全なウソです。子供の健康のことですから、これまで間違っていた専門家はすぐにでもこの論文を読んで、訂正と謝罪をしてください。

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論文内容は少し専門的になりますが、ご紹介します。

学術雑誌名:Radiation Research(英文)

論文題目:「原爆被爆者の死亡率に関する研究、第14 報、1950-2003、がんおよび非がん疾患の概要」

概要:   1950 年から2003 年まで約10万人の健康状態を調査し、死因についての被爆の影響を明らかにした。がんによる死亡(総固形がん)の過剰相対リスクは被曝放射線量に対して「全線量域で直線の線量反応関係」を示し、「閾値は認められず」、リスクが有意となる最低線量域は0-200ミリシーベルトであった。

具体的には、30 歳で1シーベルト被曝して70 歳になった時のがんの死亡は、被曝していない場合に比べて42%増加し、また、被爆の時の年齢が10 歳若くなると29%増加した。従って、20歳で被爆すると83%の増加になり、ほぼ2倍になる。がん以外の疾患では、循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患でのリスクが増加した。

解説:   個人が被爆した量と死因別の放射線リスクを総合的に解析した初めての報告である。対象は、被爆者で個人線量が推定される86,611 人、調査期間中に50,620 人(58%)が死亡し、そのうち総固形がん死亡は10,929 人であった。低線量率で若干の緩和がみられるが、直線関係を否定するものではない。

この論文で言う「過剰相対リスク」とは、相対リスク(被曝していない場合に比べて、被曝している場合のリスクが何倍になっているかを表す)から1 を差し引いた数値で、被曝による相対的なリスクの増加分を表している。

(注)放射線影響研究所は、広島・長崎の原爆被爆者を 60 年以上にわたり調査してきた。その研究成果は、国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の放射線リスク評価や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護基準に関する勧告の主要な科学的根拠とされている。

Radiation Research 誌は、米国放射線影響学会の公式月刊学術誌であり、物理学、化学、生物学、および医学の領域における放射線影響および関連する課題の原著および総説を掲載している。

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政府機関、自治体、御用学者、ご用専門家、テレビ、新聞はあまりあてになりませんが、国民の健康を守り、子供を守るという見地から、大学、医師会などに所属する良心的な方は、積極的にこの論文の結果(おそらくもっとも総合的で、現時点で正確なデータと考えられます)を尊重し、政府に対して被曝の防止(福島の除染、拡散防止、汚染食材や瓦礫の搬出防止など)をするように力を発揮してください。

またテレビ、新聞もうっかり政府の誘導に乗った1年でしたが、本来の報道の目的である、「やや政府に批判的で、事実を伝え、視聴者や読者を危険から守る」ということに戻り、この論文を多くの人が知るようにしてください。

その時、論文を書いた研究者ではなく(研究者は社会に対して倫理的責任を負わない)、科学者、啓蒙家が解説をするのが適切です。


(平成24年4月28日)

(注)本記事の内容の一部は読者からの情報によっています。

「tdyno.68-(8:23).mp3」をダウンロード

武田邦彦



http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22171960

Radiat Res. 2012 Mar;177(3):229-43. Epub 2011 Dec 15.

Studies of the mortality of atomic bomb survivors, Report 14, 1950-2003: an overview of cancer and noncancer diseases.

Ozasa K, Shimizu Y, Suyama A, Kasagi F, Soda M, Grant EJ, Sakata R, Sugiyama H, Kodama K.

Department of Epidemiology, Radiation Effects Research Foundation, 5-2 Hijiyama-koen, Minami-ku, Hiroshima 732-0815, Japan. ozasa@rerf.or.jp


Abstract

This is the 14th report in a series of periodic general reports on mortality in the Life Span Study (LSS) cohort of atomic bomb survivors followed by the Radiation Effects Research Foundation to investigate the late health effects of the radiation from the atomic bombs. During the period 1950-2003, 58% of the 86,611 LSS cohort members with DS02 dose estimates have died. The 6 years of additional follow-up since the previous report provide substantially more information at longer periods after radiation exposure (17% more cancer deaths), especially among those under age 10 at exposure (58% more deaths). Poisson regression methods were used to investigate the magnitude of the radiation-associated risks, the shape of the dose response, and effect modification by gender, age at exposure, and attained age. The risk of all causes of death was positively associated with radiation dose. Importantly, for solid cancers the additive radiation risk (i.e., excess cancer cases per 10(4) person-years per Gy) continues to increase throughout life with a linear dose-response relationship. The sex-averaged excess relative risk per Gy was 0.42 [95% confidence interval (CI): 0.32, 0.53] for all solid cancer at age 70 years after exposure at age 30 based on a linear model. The risk increased by about 29% per decade decrease in age at exposure (95% CI: 17%, 41%). The estimated lowest dose range with a significant ERR for all solid cancer was 0 to 0.20 Gy, and a formal dose-threshold analysis indicated no threshold; i.e., zero dose was the best estimate of the threshold. The risk of cancer mortality increased significantly for most major sites, including stomach, lung, liver, colon, breast, gallbladder, esophagus, bladder and ovary, whereas rectum, pancreas, uterus, prostate and kidney parenchyma did not have significantly increased risks. An increased risk of non-neoplastic diseases including the circulatory, respiratory and digestive systems was observed, but whether these are causal relationships requires further investigation. There was no evidence of a radiation effect for infectious or external causes of death.


PMID: 22171960 [PubMed - indexed for MEDLINE]


放影研・最新論文 補足
http://straub12.blog.so-net.ne.jp/2012-04-29

放影研報告書 RR 4-11
原爆被爆者の死亡率に関する研究

第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要§
Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors,
Report 14, 1950–2003: An Overview of Cancer and
Noncancer Diseases

小笹晃太郎 清水由紀子 陶山昭彦 笠置文善 早田みどり Eric J Grant
坂田 律 杉山裕美 児玉和紀

要 約

本報は、放射線影響研究所が原爆放射線の健康後影響を明らかにするために行ってきた、原爆被爆者の集団である寿命調査集団(LSS コホート)での死亡状況に関して定期的に行ってきた総合的報告の第14 報である。LSS コホート構成者でDS02 での線量推定が行われている86,611人のうち58%が、1950–2003 年の期間に死亡した。追跡期間を前報から6 年間延長したことにより、放射線被曝後の長期間の死亡状況に関する実質的に多くの情報が得られ(がん死亡の17%増加)、特に被爆時年齢10 歳未満の群で増加した(58%増加)。放射線関連リスク、線量反応関係の形、および性、被爆時年齢、到達年齢による効果修飾作用の大きさを明らかにするために、ポアソン回帰を用いた。全死亡のリスクは、放射線量と関連して有意に増加した。重要な点は、固形がんに関する付加的な放射線リスク(すなわち、10(4)人年/Gy 当たりの過剰がん症例数)は、線形の線量反応関係を示し、生涯を通して増加を続けていることである。全固形がんについて、線形モデルに基づく男女平均の1 Gy 当たりの過剰相対危険度は、30 歳で被爆した人が70 歳になった時点で0.42(95%信頼区間[CI]:0.32, 0.53)であった。そのリスクは、被爆時年齢が10 歳若くなると約29%増加した(95% CI:17%, 41%)。全固形がんについて過剰相対危険度が有意となる最小推定線量範囲は0–0.2 Gy であり、定型的な線量閾値解析では閾値は認められなかった。すなわち、ゼロ線量が最良の閾値推定値であった。主要部位のがん死亡リスクは、胃、肺、肝臓、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、および卵巣で有意に増加した一方、直腸、膵臓、子宮、前立腺、および腎実質では有意な増加は認められなかった。非腫瘍性疾患では、循環器、呼吸器、および消化器系疾患でリスクの増加が示されたが、因果関係については今後の研究が必要である。感染症および外因死には放射線の影響を示す根拠は見られなかった。


§本報告書はRadiat Res 2012 (March); 177(3):229–43 に掲載されたものであり、その正文は同掲載論文のテキスト(英文)である。この日本語要約は、日本の読者の便宜のために放影研が作成したが、本報告書を引用し、またはその他の方法で使用するときは、同掲載論文のテキスト(英文)によるべきである



14報(全文、英語):http://www.rerf.or.jp/library/rr_e/rr1104.pdf


追記 2012.5.26 以下 和訳版

原爆被爆者の死亡率に関する研究第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要
http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2012/05/abcc-1950-radiation-research-14-1950.html

by oninomae | 2012-04-30 18:21 | 放射能・ラジオハザード  

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