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ウォール街のバクチと戦争の脅しで急騰する石油価格

http://tamekiyo.com/documents/W_Engdahl/oilprice.php より

ウォール街のバクチと戦争の脅しで急騰する石油価格 F・ウィリアム・イングドール 2012年3月15日

Why The Huge Spike in Oil Prices? "Peak Oil" or Wall Street Speculation? By F. William Engdahl (http://engdahl.oilgeopolitics.net/)


昨年の10月頃から世界的に先物の原油価格が急上昇している。この理由を人それぞれにそれぞれの説明をしている。最もよくある説明は、イスラエルとイラン、もしくは米国とイラン、またはこの3カ国すべての間の戦争が切迫していると金融市場で信じられているという説明である。また、世界がいわゆる「石油ピーク」を超えてしまったために、不可避的に価格が上昇しているという説明もされている。石油ピークとは、想像上のガウス正規曲線上のポイントで、全世界の既知の石油資源の半分を消費し、以降は加速度的に産出量が減っていき、残った石油が価格上昇していく境界ポイントのことである。

この戦争の危機と石油ピークの説明は、いずれも完全に的外れである。先物市場の石油価格が一時的に1バレル147ドルに達した2008年夏の天文学的な価格の急騰と同様に、現在の石油価格上昇は、ヘッジファンドや大手銀行(例えばシティグループ、JPモルガン・チェイス、特にゴールドマン・サックス)から石油先物市場に投機的な圧力がかかっているからである。ゴールドマン・サックスは、わずかな努力で確実なことに賭けて大金を勝ち取るチャンスがあるときには、必ず姿を現す銀行である

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これらの銀行は、金融派生商品(デリバティブ)の規制を委ねられた米国政府機関(CFTC:商品先物取引委員会)から寛大な支援を受けている。

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出典 oilnergy.com

約半年前の2011年10月初め以来、ICE(インターコンチネンタル・エクスチェンジ)先物取引所のブレント原油先物価格は、1バレル100ドル以下から126ドルを超え、25%以上の上昇をした。2009年の段階では30ドルだった。〔参考:ブレント原油・現物価格の1987年以降の推移〕

だが、この期間に、世界の原油需要は増大しておらず、むしろ弱まっている。国際エネルギー機関(IEA)によると、2011年の最後の3ヶ月間に、世界の石油供給(日量)は130万バレル増加している。その一方で、同じ期間に世界の需要はその半分を少し上回るほどしか増加していない。ガソリンの利用は米国で8%、欧州で22%減少し、中国でさえ減少している。EUのほぼ全域での景気後退、米国での不況の深刻化、日本の低迷が、世界の石油需要の減少要因となる一方で、毎日のように新しい発見が報告され、イラクのように長い戦争を終えて供給量を増やしている国もある。1月と2月に中国の石油購入が一時的に突出したのは、昨年12月に戦略的石油備蓄を行うことを決断したことと無関係ではなく、今月末までにはより正常な輸入レベルへと復帰することが予想されている。 では、何故、大幅に石油価格が急騰するのだろうか?


紙に書いた石油で遊ぶ

現在の「紙に書いた石油」の市場がどのように機能しているのか、ざっと理解しておくと有益である。ゴールドマン・サックスが1980年代にJ.アロン社(抜け目のない商品取引業者)を買収して以来、原油の取引は、現物の石油を売買する場から、規制に縛られることなく先物の石油に投機する市場に変質してしまった。先物とは、特定の将来の期日(通常は30日、60日、90日)の特定の原油の価格がどうなるか賭けるものであり、実際の物質としての石油の需給が毎日の石油の価格を決定するわけではない。

近年、ウォール街とフレンドリーな(ウォール街から金をもらっている)米国議会が石油先物の取引に関心のある金融機関に有利な法律をいくつか成立させている。中でもその一つに、2001年にエンロンが数十億ドル相当の「ねずみ講」の仕組みから破綻前に逃げ切ることができるようにした法律がある。

2000年・CFMA(Commodity Futures Modernization Act of 2000: 商品先物最新化法)は、現在オバマ大統領の財務長官としているティモシー・ガイトナーが立案した。

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このCFMAは、実質的に「オーバー・ザ・カウンター」(金融機関どうし)のエネルギー先物のデリバティブ取引に自由裁量を与え、いかなる形態の米国政府の監視もなくした。これはウォール街の金融機関の強烈な金銭パワーを使った議会工作活動の成果である。石油などエネルギー商品は、「エンロンの抜け道(ループホール)」と名付けられるに至ったもので免除されていた。

2008年、金融危機の責任をウォール街に求める国民の憤怒の中、ようやく米国議会は、ジョージ・ブッシュ大統領の拒否権を押し切って、「エンロンの抜け道」を塞ぐ法律を成立させた。そして、2011年1月以降、ドッド・フランク・ウォール街改革法によってCFTC(商品先物取引委員会)は、石油取引業者にポジション・キャップ〔取引中の残高の上限〕を課す権限を持つようになった。

だが、奇妙なことにCFTCは、いまだにこの上限を実施していない。最近のインタビューで、バーモント州のバーニー・サンダーズ上院議員は、CFTCはこの上限を実行に移す「意志を持って」おらず、「法律を遵守する必要がある」と述べている。また、「我々に必要なのは、石油先物市場において一つの会社がコントロール可能な石油の量を制限することである。こうした投機家たちの目的は、石油を利用することではなく、価格を吊り上げて売却し、投機から利益を得ることにある」[1]とも言っている。彼は抜け道を塞ごうとして口うるさく主張してきたが、ここで注目すべきなのは、CFTCの会長ゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)は、想像に難くないが、ゴールドマン・サックスの元役員である。

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昨秋以来、実際の石油のバレル数の需給計算とは切り離されたところで、大手金融機関が(BPなど石油メジャーとともに)新たな石油価格バブルの操作でどのような役割を果たしてきたかは、数多くの情報源が指摘している。


「賭博場」

最近の推定によると、現物の納品には何の関心もなく、紙の上の利益を上げることだけを考えている投機家(銀行やヘッジファンドなどの先物取引業者のこと)が、今日ではエネルギー先物市場の約8割をコントロールしている。10年前は3割だった。CFTCのゲンスラー会長は、議会から法的に託された義務を無視する一方で、おそらく青さびた信頼性を維持するためだろうが、石油市場に関して「巨額の投機マネーの流入が商品価格を吊り上げる自己成就的な予言となる」[2]と昨年述べている。

3月初めに、クウェートのハニ・フセイン石油大臣は、「需要と供給の理論によると、今日の石油価格は正当ではない」[3]と国営テレビで放送されたインタビューで語った。

メリーランド大学法学部の金融専門家で元CFTCの取締官だったマイケル・グリーンバーガーは、大手銀行とヘッジファンドによる無制限な投機とエネルギー価格の操作を許す米国政府の決定がどんな意味を持つのか人々の関心を引こうと努力した人であるが、「投機によって石油価格に途方もないプレミアム(割増)が加わることを立証した研究が50件ある。だが、どういうわけか、そのことが一般的な理解となって浸透していない」と最近述べている。「いったん市場が投機家に支配されてしまえば、実態としては賭博場になる。」[4]

石油市場に対する米国政府の甘すぎる規制の結果、一握りの機略に富んだ銀行・金融機関が(面白いことに、彼らは世界の石油デリバティブ取引も支配しており、ロンドンの主要な石油取引所、ICE先物の株式も所有している)、石油、ガソリン、その他石油を材料とする無数の製品に我々が支払っている価格を短期的に大幅に揺さぶる操作能力を持つことができる理想的な状況が生み出された。

現在、我々はそうした揺さぶりの一つの渦中にいる。そして、イランの核開発計画を誇張し、武力行使の威嚇をするイスラエルがそれを増幅している。私は、イスラエルはイランとの直接的な戦争に乗り出すつもりはなく、ワシントンにもそのつもりはないと絶対的に確信している。そのことをここで明言しておきたい。イスラエルの威嚇の趣旨は、大規模な投機で石油価格の急騰を起こすために、理想的な背景幕を作り出すことにある。一部のアナリストは、夏までに石油は150ドルになると言っている。

まさしく、ヒラリー・クリントンは、核問題に関してイランに新たな最後通牒を提示し、「年末までに、さもないと・・・」と、イランとの戦争の懸念から何ヶ月も石油価格が上昇し続けることを保証した

おかしなことに、現在の石油価格バブルを本当に吊り上げている要因の一つは、オバマ政権が最近になってイラン中央銀行の石油取引に経済制裁を課したことである。ワシントンは、日本、韓国、EUにイランの石油を輸入するな、さもなくば懲罰を受けることになると圧力をかけることで、ここ数週間に世界市場に占めるイランの石油供給量を大幅に減らしたと報道されている。このことが、石油でゲームをしているウォール街のデリバティブにターボ・ブースト(大きな増幅力)を与えている。ロンドンのフィナンシャル・タイムズの最近のOpEd(オピニオン欄)に、ユーラシア・グループのデーヴィッド・ゴードンとイアン・ブレマーが「イランにはいくらか経済的なダメージを与えるかもしれないが、世界のエネルギー供給からイランの石油を排除しすぎると、石油価格の急騰を招く可能性があり、景気回復を停止させるだろう。おそらく初めてのことだろうが、制裁は『成功しすぎる』可能性があり、制裁される側だけでなく、制裁する側も傷つくだろう」と書いている。

ブルームバーグによると、イランは、通常の日量250万バレルより少なく、30~40万バレルを出荷している。先週、米国のEIA(エネルギー情報局)は報告書の中で、保険業者が積荷保険の証書を発行しないために大部分のイランの石油は輸出されていないと述べた。[5]

一握りの大手銀行による無制限・無規制の石油デリバティブ投機の問題は、新しい問題ではない。2006年6月の「石油・ガス価格の上昇における市場投機の役割」に関する報告書で、米国上院の常任調査小委員会は、「現在の市場における巨額の投機が、価格を大幅に上昇させたという結論を裏付ける重大な証拠がある」と述べている。

この報告書では、議会がCFTCに対し、操縦的な行為や過剰な投機ではなく、需給の法則を反映した先物市場の価格となるよう確保するよう命じていたことを指摘している。米国商品取引所法(CEA)は、「いかなる商品においても、将来の期日の納品を前提とした販売契約の下で、過剰な投機が(略)急激もしくは非合理的な変動もしくは不当な変動を引き起こすことは、州間の交易にとって不当で不必要な負担である」と述べている。さらにこの法律は「そのような負担を軽減、排除、防止するにはCFTCの検知が必要なため」[6] そうした取引に制限を設けることをCFTCに指示している。

そうした制限を我々が必要としている今、CFTCはどこにいるのだろうか? サンダーズ上院議員が正しく指摘したように、CFTCは、石油先物取引を支配しているゴールドマン・サックスなどウォール街の友達の利益のために、法律を無視しているようである。

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オバマ政権がさまざま外交の裏ルートを開いてイランとの戦争を防止するように行動していることが明らかになり、また、ネタニヤフが彼の軽蔑するオバマ政権と巧妙な駆け引きをする上で戦術的なポジションを強化するためだけに戦争の脅威を使おうとしていることが明らかになれば、その瞬間に、石油価格は落石のように数日で急降下する状態(均衡)にある。その時が来るまで、石油デリバティブの主だったインサイダーたちは、儲かりすぎて笑いがとまらない状態だ。

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)


関連情報

原文 

Why The Huge Spike in Oil Prices? "Peak Oil" or Wall Street Speculation? by F. William Engdahl (GlobalResearch)
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=29803


脚注

[1] Morgan Korn, Oil Speculators Must Be Stopped and the CFTC ?Needs to Obey the Law?: Sen. Bernie Sanders, Daily Ticker, March 7, 2012, accessed in http://finance.yahoo.com/blogs/daily-ticker/oil-speculators-must-stopped-ctfc-needs-obey-law-182903332.html

[2] Ibid.

[3] UpstreamOnline, Kuwait's oil minister believes current world oil prices are not justified, adding that the Gulf state's current production rate will not affect its level of strategic reserves, 12 March 2012, accessed in http://www.upstreamonline.com/live/article1236944.ece

[4] Peter S. Goodman, Behind Gas Price Increases, Obama's Failure To Crack Down On Speculators, The Huffington Post, March 15, 2012, accessed in http://www.huffingtonpost.com/peter-s-goodman/gas-price-increase_b_1346035.html

[5] Tom Parfitt, US 'tells Russia to warn Iran of last chance' , The Telegraph, 14 March 2012, accessed in http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/iran/9142688/US-tells-Russia-to-warn-Iran-of-last-chance.html

[6] Steve Levine, Obama administration brushes off oil price impact of Iran sanctions, Foreign Policy, March 8, 2012, accessed in http://oilandglory.foreignpolicy.com/posts/2012/03/08/obama_administration_brushes_off_oil_price_impact_of_iran_sanctions

[7] F. William Engdahl, ?Perhaps 60% of today?s oil price is pure speculation?, Global Research, May 2, 2008, accessed in http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=8878


訳者メモ

テレビでは評論家がもっともらしい理屈をつけているのだろうが、国際情勢は単純である。また、イスラエル・米国は、イランと直接戦争するつもりはなく、戦争は石油価格を吊り上げるための脅しにすぎないと分析しているところも注目。ところで、日本ではタイミングよく原発が停止して、火力発電への依存度が上がっている。



おまけ

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もういーかい?

まーだだよ?

by oninomae | 2012-03-22 20:05 | 政治詐欺・政治紛争  

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