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イラン情勢 櫻井ジャーナル 

CIAが飛ばしていた無人ステルス機をイランが回収したことを示す映像が流れている 2011.12.08
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201112080001/

CIAが飛ばしていた無人ステルス機、RQ-170をイランが回収したことは間違いないようだ。アフガニスタンで活動中、コントロール不能になってイラン領空へ入ったとアメリカ側は弁明しているようだが、国境から200キロメートル以上離れた場所で発見されたと言われている。アメリカ側が回収や破壊を断念したのも、この距離にあったようだ。イラン攻撃の準備が目的だった可能性もあるだろう。

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パキスタンの検問所を攻撃し、イラン領の奥深くまで偵察機を飛ばしているのは米軍の特殊部隊とCIA、ベトナム戦争に米国を引きずり込んだコンビという薄気味悪さ(その1) 2011.12.09
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201112090000/

ジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃したときと同じ役者が同じ主張を繰り返している。言うまでもなく、ターゲットはイランだ。イラク攻撃を主張する勢力の中心的な存在は親イスラエル派のネオコン(新保守)、その拠点になっていたのがシンクタンクのAEI(アメリカン・エンタープライズ研究所[American Enterprise Institute])。AEIで外交国防政策を担当しているダニエレ・プレッカ[Danielle Pletka]は好戦派の代表的な存在だ。

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世界有数の核兵器保有国であるイスラエルを放置したままプレッカたちはイランの核開発を許せないと主張、徹底した「封じ込め政策」を採用するべきだとしている。 イラクの時のような先制攻撃に対する反発は強く、イラクのようにはいかないという判断なのだろう。

ネオコンが中東地域を大改造するべきだと言い始めたのは1990年代に入ってからである。

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そうした主張を表明したいくつかの文書の中でも特に有名なものが「決別」だろう。

この提案書をまとめたのはエルサレムのシンクタンク「IASPS(先端政治戦略研究所[Institute for Advanced Strategic and Political Studies])」。執筆したのはリチャード・パール[Richard Norman Perle]をはじめ、JINSA(国家安全保障問題ユダヤ研究所)のジェームズ・コールバート[James Colbert]、ジョンズ・ホプキンス大学のチャールズ・フェアバンクス[Charles Fairbanks]、リバート・ローウェンバーグ[Robert Loewenberg]IASPS所長、中東政策ワシントン研究所[WINEP:Washington Institute for Near East Policy]のジョナサン・トロップ、そしてパールと同じようにネオコンの中心的存在であるダグラス・フェイス[Douglas Feith]、デイビッド・ウームザー、メイラブ・ウームザーだ。

もっとも、1980年代からネオコンやイスラエルはイラクからサダム・フセインを排除するべきだと主張、イスラム革命から湾岸諸国を守る防波堤と位置づけていたアメリカの主流派と対立していた。

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この対立がイラン・コントラ事件やイラクゲート事件の発覚につながっている。(両事件については拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照していただきたい。)

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こうした提案をした勢力がジョージ・W・ブッシュ政権を支える柱のひとつになるのだが、主導権を握ったと言えるのは2001年9月11日以降。この日、ニューヨークの世界貿易センターにそびえ立っていた南北両タワーに航空機が激突、ペンタゴンも攻撃されるという出来事があった。

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ブッシュ政権はすぐにアル・カイダの犯行だと断定するのだが、その背後ではイラクを攻撃するというネオコンの戦略が始動していた

アメリカ陸軍のウェズリー・クラーク[WesleyClark]大将によると、9/11から10日目の時点でアメリカ政府はイラク攻撃を決定、その数週間後にはイラクだけでなく、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが攻撃予定国に名を連ねていたという。



プレッカもイラクに続き、イランやシリアの体制転覆を想定している。

クラーク大将は1997年から2000年まで欧州連合軍最高司令官を務めた人物。NATOを指揮していたわけだが、その間、1999年には偽情報で下地を作った上でユーゴスラビアを空爆、大統領の自宅や中国大使館を破壊している。同じことをイラクでも行うとドナルド・ラムズフェルド[Donald Henry Rumsfeld]国防長官やポール・ウォルフォウィッツ[Paul Dundes Wolfowitz]国防副長官に命令されたと言うわけだ。

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パキスタンの検問所を攻撃し、イラン領の奥深くまで偵察機を飛ばしているのは米軍の特殊部隊とCIA、ベトナム戦争に米国を引きずり込んだコンビという薄気味悪さ(その2) 2011.12.09
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ジョージ・W・ブッシュ政権の時代、ドナルド・ラムズフェルド国防長官たちがイラク攻撃を決定してから実際の攻撃まで約1年半を要したのは統合参謀本部の内部に反対意見が多かったからである。サダム・フセイン体制を崩壊させてもゲリラ戦が続き、戦費も膨らみ、中東全域を不安定化させることは明らかだった。

2008年に経済学者のジョセフ・スティグリッツらは、アフガニスタンやイラクでの戦費が3兆ドルをはるかに超えるとする分析しているが、陸軍のデビッド・ハックワース[David Hackworth]退役大佐は開戦前、同じような主張をしている。

つまり、イラクを安定させるために少なくとも30年間はイラクにアメリカ軍を駐留させておく必要があり、月に必要な戦費は60億ドル、合計すると2兆ドルを突破すると推定していたのである。バラク・オバマ政権はアメリカ軍を撤退させつつあるが、イラクは安定からほど遠く、しかも傭兵を増強しているのが実態で、泥沼から抜け出せそうにはない。

イラクへの軍事侵攻が事前の宣伝通りにならないことを懸念する声があがっても、AEIのダニエレ・プレッカは「うまく進んでいる」と主張していた。すぐに安定化すると本当に信じていたのか、実際は混乱を望んでいたのかは不明だが。

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現在、アメリカはトルコを使ってシリアを攻撃する一方、パキスタン軍を攻撃、イラン領の内部に無人の偵察機を飛ばしている。今回、イランはCIAが飛ばしたRQ-170が墜落して回収されたのだが、勿論、故障してのことではない。察知されず、少なくとも4年間にわたり、何十回と偵察飛行を行ってきたと言われている。イランに対する敵対行為であることは間違いない。

11月26日にパキスタンの検問所を攻撃したのはアメリカの特殊部隊だとも言われているが、故意と言うだけでなく、事前に練り上げた計画に基づいているとパキスタン側は主張、パキスタン国内におけるCIAの活動を調査するともしている。

アメリカの特殊部隊は核戦争計画の中で成長し、カルト的な精神風土がある。アメリカをベトナム戦争に引きずり込む切っ掛けになったトンキン湾事件で主役を演じたのも特殊部隊であり、住民皆殺しを目的としたフェニックス・プログラムも彼らの仕業だ。


勿論、特殊部隊の人間全てがカルト的だと言うわけではない。例えば、イラクに先制攻撃した直後に特殊部隊を指揮していたチャールズ・ホーランド[Charles R. Holland]は、確かな情報に基づかない作戦を拒否していた。こうした人物を嫌ったのがブッシュ政権のネオコンたちで、2003年10月に退役させられている。替わって特殊部隊を指揮するようになったのがウィリアム・ボイキン[William G. Boykin]。

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この人物、筋金入りのカルト信者で、自分たちの敵はオサマ・ビン・ラディンでもサダム・フセインでもなく、宗教的な敵だと教会で演説している。彼はソマリアで戦った経験があるのだが、そこで撮影した写真に「奇妙な暗黒の印」があることに気づいたと主張、「これがあなた方の敵の正体です。あの町にある邪悪な存在、暗黒の遣いルシフェルこそが倒すべき敵なのだと神は私に啓示されました。」と発言している。

現在、アメリカの共和党は大統領選挙の候補者選びをしている。その有力候補者はボイキンやダニエレ・プレッカと同類の人間。バラク・オバマの再選が阻止されたとき、こうした人間がアメリカを率いるわけだ。背筋が凍る。


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「平和賞」もなかなか頑張っています

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平和省だった

by oninomae | 2011-12-13 21:11 | 戦争詐欺・紛争  

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