横浜のストロンチウム問題 武田邦彦
http://takedanet.com/2011/11/post_ab96.html
横浜でストロンチウムが見つかり、これが福島原発のものかどうか議論されている。相変わらず、国(文科省)は「事故は小さく見せる。東電の責任ではない」というのに必死だが、文科省は国民の側に向いて、次のことに答えて欲しい。
この写真はプルトニウム燃料を使っていた3号機の爆発だ。 この炉の中にあった、いずれも6%のセシウムとストロンチウム、それにプルトニウムがどこに行ったのか、心配している国民に答えるのが、まず文科省がすることだ。 (引用注:ウラニウムも)
東電のミスを隠すのに一所懸命になるのは一国の科学技術を所管する官庁としては恥ずかしい。
まず、第一に「噴煙がなぜ上部に上がっているか」ということだ。何かの爆発が起こったとき、なにの制限がなければ四方八方に散る。1号機の爆発が水素爆発で、その煙が四方八方に散っているのは納得できる。
原子炉の冷却水が無くなると、温度が上がって表面に付着している水や水蒸気と金属が反応して水素が発生し、それが炉から部屋の中にでる。水素は軽いので上に上り建物の天井付近で爆発する。それが1号機の煙だ。写真を見ると白い煙が四方八方に散っている。
ところが、3号機は「ボン」と上に上がっている。上に上がるということは方向性を持っているのだから大砲のような「筒」が必要になる。
3号機の簡単な図を示したが、建物の上のほうに空間があり、ここに水素がたまって、空気中の酸素と一気に反応して爆発する。それが水素爆発だ。ところが方向性をもって爆風が上部に上ったのだから、原子炉建屋の下の方で爆発が起こらなければならない。
しかし、原子炉建屋の下は格納容器で囲まれていて、それが破裂するしか爆発することができない。たとえば格納容器の下部に温度が高い核燃料が落ち、その時に水蒸気爆発したか、あるいは臨界に達して小規模な核爆発が起きたかが考えられるが、それもやや疑問がある。
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ところで、3号機はプルトニウム燃料を使っていて、プルトニウム濃度は9%程度だったと考えられる。またセシウム6%、ストロンチウム6%があった。1号機のように水素爆発なら揮発しやすいセシウムが多くなるが、下からの爆発なら、ストロンチウムもプルトニウムも同じように大気中に放出されたはずだ。
プルトニウムは格別に重いので、あまり飛ばないことも考えられるが、ストロンチウムの酸化物はセシウムとそれほど変わらないので、同じように大気中を移動すると考えられる。そうすると、「ストロンチウムは無い」と繰り返す政府の根拠は論理的ではない。
つまり、「事故を小さく見せて、国民を被曝させ、東電を守る」ということで終始一貫している政府の言動としては予想されることだが、「横浜や東京にストロンチウムもプルトニウムも飛んでいない」という研究を素早くやるなら、その前に、3号機の爆発を丁寧に説明する必要がある。
国は国民の税金で運営されているだから、隠すのではなく、積極的に疑問点を説明する態度に180度切り替えなければならない。
(平成23年11月26日) 武田邦彦
コメで新たに基準超え放射性物質 11月25日19時34分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111125/k10014209461000.html
福島市の大波地区で収穫されたコメから、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、福島県がこの地区のすべてのコメの緊急の調査を始めたところ、新たに5戸の農家のコメから国の暫定基準値を超える最大で1キログラム当たり1270ベクレルの放射性セシウムが検出されました。
福島市の大波地区の水田で収穫されたコメから国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたことを受けて、福島県は今月22日から、この地区の154戸の農家が生産した4752袋のすべてのコメについて緊急の調査を始めています。
これまでに34戸の農家の864袋のコメの検査が終わり、このうち新たに5戸の農家の103袋から、国の暫定基準値の1キログラム当たり500ベクレルを超える放射性セシウムが相次いで検出されました。数値は、最大で1キログラム当たり1270ベクレルで、27袋のコメが1000ベクレルを超えているということです。
福島県によりますと、5戸の農家は、いずれも最初に暫定基準値を超えたコメの農家から、1キロから2キロほどの距離にあるということです。
大波地区のコメは、すでに出荷停止となっていることから、福島県では、市場には流通していないとしていて、残る120戸の農家のコメの検査を来月中旬までに終わらせたいとしています。福島県農林水産部の鈴木義仁部長は「とても残念な事態だ。現時点で、コメの安全性が大きく崩れるとは考えていないが、事態を重く受け止め、ほかの放射線量が高い地域での調査をどうしていくのか検討していきたい」と述べました。
福島県 放射性セシウム暫定規制値超の玄米が続出 土壌汚染は人が住めないほどに深刻ではないか
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/nuclear/tepco-nuclear-disaster/11112601.htm
http://quasimoto.exblog.jp/16965970/
大波地区の農家の方のお話
http://savechild.net/archives/12757.html
先ほど話した大波のコイケです。
若干ちょっと、あの、えー話し忘れたんですけど、お米の問題がありましたけど、あれはあそこの田んぼだけポコッと何か630ベクレル/kg出たっていう話しになってしまいそうなんですが、実はですね、南相馬のほうで実験をやっている方が色々調べてたら、やっぱり田んぼごとにずーっとですね、線量が段階的に違っているというのがハッキリしてまして、えー、大波はですね実際に、あの、測定してないんですよね。
だからあの、あそこだけがいきなりポコッと(630ベクレル/kg)出たような形になっているんですけど。特殊状況ということではなくて、あの、私の所の畑もですね、えーとー、だいぶ前に測ってるんですけど1万ベクレル/kgありますんで、大波そのものがですね、全体的にかなりあの高いことは間違いないです。
それであの、私何度も県に、えーと、電話してですね、高いからとにかく高過ぎるから調べてくれと、で、米もですね、5000ベクレル/kg(土壌が)以上は作っちゃいけないって言ってるくせに、どうして大波調べないのって何度も電話して、最後にもらった電話がですね、えーと、県と市とで協議して、市の方で「わかりました。じゃあ調べます」って言わない限り、調べられないんだそうです。県の方では。でー、そういうことをやってますので、あのー、本当はもっとはやくね、きちんとポイントポイントを調べてれば、もっと早く出たはずなんですよ。
で、大波、みんな野菜とかも食べてますけど、えー野菜はまあ幸いさほど吸収しないものが多かったんで、どうかなとは思うんですけど、うちで測ってるものなんかだと、例えばあのー、えーと、カリウムをすごい吸収する植物あるんですよね。そういうの選んで、調べますと、あのー、葉っぱだけ調べると1万ベクレルとかの数字が出てきちゃいますので、えー、果物なんかだとうちの畑だと300ベクレルぐらいですけど、そういうあのあれがありますので、とにかくあのー、どんどん調べてくれるように言ったんですけどね、なかなか。
でー、JAのほうも皆さんほんとあのー、JAできちんと前から調べてると思ってるんでしょうけど、JAは機械なかったですからね。あのー、何回もJAに電話したら「いえ、うちは調べてません」。で大波の、あの、野菜調べてるんですかって県に言ったら「調べてません」って言ってましたからね。えー今やっと何か、JAがいきなりあのね、自主的に出してくれた人の米を調べたなんて言ってるけど、やっとですからね。
by oninomae | 2011-11-26 19:09 | 放射能・ラジオハザード