イランを覆いつつある戦雲 Wayne Madsen
イランを覆いつつある戦雲 Wayne Madsen 2011年11月10日 Strategic Culture Foundation
イスラエルの、ワシントンにおける全能の圧力団体、イスラエル協力者、潜入者や、アメリカ合州国に対するあからさまな売国奴で構成されている組織、アメリカ・イスラエル公共問題委員会 (アメリカ・イスラエル公共問題委員会)が、アメリカ大統領、国務長官、米国務省外交局職員、あるいは、どの特使であれ、イラン政府の、いかなるメンバーなり代理と、公式であれ、非公式であれ、あらゆる種類の外交接触をおこなうことを禁ずる下院決議案1905号を利用して、強引に押し切り続けている。
大統領が、必要条件を通知した場合にのみ、委員会がイランとの外交接触を進めることが可能になるのだ。
イスラエルは、議会の外務委員会に対する事実上の支配力を持っているので、イラン当局者と接触する必要性についての、ホワイト・ハウスのあらゆる通知は、即座に、エルサレムにあるベンヤミン・ネタニヤフの事務所に伝えられこととなり、イスラエルが、あらゆる米-イラン交渉を出し抜けるというわけだ。アメリカ・イスラエル公共問題委員会は、アメリカ合州国を、更にユダヤ人国家の属国にしようとまで決意している。
イスラエルの戦略は、イランの核施設と、おそらくは他の標的をも攻撃するイスラエルの計画が、アメリカ合州国の外交界において、決していかなる反対にもあわないようにすることだ… イスラエルと、アメリカ合州国の権益を、はるかに超え、更には違反し、自国の権益を優先している。
地域における、イスラエルの秘密の同盟国サウジアラビアに支援され、イスラエルがイランを攻撃するという見通しに直面して、中東とアジア全体に、波及効果が及んでいる。
アジアの国々は、先を争って、上海協力機構(SCO)に、正式加盟国として加わりたがっている。シリアとイランの政府を転覆させようという、アメリカ合州国、NATO、そしてイスラエルの好戦的な狙いに直面して、ロシア、中国、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタンと、タジキスタンで構成される、経済、文化、および事実上の集団安全保障同盟は、サンクト・ペテルブルクにおける首相サミットの後、SCOはパキスタン、イランと、インドの正式加盟に門戸を解放する予定だと発表した。アジア諸国は、アジアにおける干渉をしないよう、アメリカ合州国を排除したがっている。
サンクト・ペテルブルク・サミットに先立ち、ロシアと中国は、いかなる対イラン軍事攻撃もせぬよう、西欧に強く警告した。国際外交に使われた言葉は、冷戦時代を彷彿させるが、イスラエルと、ワシントン、ロンドン、パリ、ベルリンの政府の上層部や、国連支配層の内部に埋め込まれた、イスラエル諜報機関のスパイ・工作員に、侵略国が引きずり回されているのだととは言え、西欧こそ、侵略国の役を演じているのだ。
アメリカの属国アフガニスタンですら、NATOとワシントンの束縛から懸命に抜け出そうとして、SCOのオブザーバー資格を獲得した。アフガニスタンにおけるNATO演習の副司令官、アメリカ陸軍、ピーター・フラー[Peter Fuller]少将は、アメリカの対パキスタン戦争で、アフガニスタンはパキスタン側につくつもりがあるとハミド・カルザイ[Hamid Karzai]大統領が述べるようなアフガニスタン政府指導部は、一貫せず、恩知らずで、現実離れしているという最近の発言して、結果的に、フラーは解任された。フラーの発言は、カルザイが、SCOのオブザーバー資格を要求する結果をも招いた。アメリカのイスラム世界に対する攻撃や、パレスチナの主権を認めることに反対していることから、世界中におけるワシントンの立場はがた落ちだ。
CIAやペンタゴンが工作員を潜入・徘徊させているもう一つの国、モンゴルも、SCOオブザーバーだ。SCOオブザーバーの資格や、将来、正式加盟が可能となるような、SCO "対話パートナー" 国というものもある。対話パートナー国の中には、ベラルーシ、スリランカや、テルアビブとワシントンを懸念させるに違いない国、NATO加盟国であるトルコが含まれている。モスクワとアンカラは、トルコが、最終的には、SCO正式加盟国となることに合意している。トルコは、中央アジアのチュルク語諸国や、トゥヴァ、バシュコルトスタンとアディゲを含む、多くのロシアのチュルク語自治共和国とは、密接な歴史的、文化的紐帯を持っている。
トルコは、トルコのガザ支援船、マヴィ・マルマラ号に対する残酷な、いまわしいイスラエルの攻撃。クルドPKKの、トルコにおけるテロ攻撃に対するモサドの援助、そして、トルコのエルゲネコン"地下国家"ネットワークへのイスラエルによる秘密の関与等で見られる様な、トルコの内政や外交問題に対するイスラエルの干渉には、うんざりしている。
イスラエルにとって最も公然の秘密の同盟国、サウジアラビア、エジプトの元諜報機関長官で、ネタニヤフの親しい友人オマール・スレイマン[Omar Suleiman]を、
サウジの確実な王位後継者で、内務相でもある、ナエフ・ビン・アブドル・アジズ・アル-サウド王子の顧問に任命したのを、イランは見ている。
オバマ政権が、4,000人の兵士をイラクからクウェートに移駐させ、アメリカ第五艦隊の基地バーレーンや、カタール、アラブ首長国連邦とオマーンにおける他のアメリカ軍施設を強化することにより、エルサレム-リヤド枢軸は、更に強化されつつある。 CIAとペンタゴンは、プレデター無人機基地を、ジブチ、セーシェル、エチオピアと、報道によれば、サウジアラビアにも建設した。
キルギスタン次期大統領、アルマズベク・アタンバエフ[Almazbek Atambaev]首相は、現在の賃貸期間が、2014年に満了した後は、アメリカとNATOが、 キルギスタンのマナス輸送センター空軍基地から撤退することを望んでいることを表明した。既に、キルギスタン国内の、ソロスが資金を供与している非政府組織(NGO)の代表連中は、新キルギス憲法のもとでは、アタンバエフは基地を閉鎖する権限がないことを示唆することを開始した。
アジアの国々の問題に対する、この種のアメリカの干渉こそが、SCOが、アメリカ軍からの直接の脅威を受けている二国、イランとパキスタンまでを含むよう、加盟国を拡張しようと準備している理由だ。
アメリカの狙いと軍事計画への疑念も、対話パートナーとして、SCOに加盟したいというワシントンの要求を、立ち消えにしてしまった原因だ。“パートナー”として、SCOサミットに出席したいというワシントンの関心が、SCO加盟諸国や、オブザーバーと“対話”することにより大きな期待を抱く以外には、アフガニスタン、パキスタンや、モンゴルのような、かつての“同盟国”を通してさえ、 CIAは、SCOの内部構造に割って入ることができない状態であることを、はっきり物語っている。結局、アメリカ・イスラエル公共問題委員会と、その手先連中は、アメリカ下院で、テヘランの当局者とのあらゆるアメリカの外交的接触を禁じる法案を何とか押し通した。
オバマ大統領は、選挙年の間中、湾岸地域に駐留するアメリカ合州国軍を、必然的に対イラン戦争に導く行動である、イスラエルの対イラン軍事攻撃を、テルアビブ/西エルサレム政権のために支持するよう、イスラエル・ロビーから強烈な圧力を受けている。
ジュネーブでのG-20サミットで、フランス大統領ニコラ・サルコジが、オバマにこう言ったのを立ち聞きされている。"ネタニヤフには耐えられない、彼は嘘つきだ。" それに対し、オバマは答えた。"あなたはうんざりしたというが、私は彼を毎日相手にしなければならないのだ。"
サルコジ-オバマのやりとりは示唆的だ。オバマは、ネタニヤフが、イスラエルと、グローバルなユダヤ主義者の権益を、何事にも優先して、推進するためなら、対イラン軍事攻撃を推進するため、イラン核兵器というでっち上げ脅威の嘘を言うほどまでに、どんな事でもしかねず、どんな事でも言いかねない明白な嘘つきであることには異義をとなえなかった。
イスラエルは、アメリカ合州国、イギリス、ドイツ、カナダ、スウェーデンと、オランダの国連代表団中で、影響力を行使する秘密工作員を利用して、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長が、前任者のモハメッド・エルバラダイであれば、決して認めなかったであろうやり方で、イランの核開発にまつわる、この機関の報告書を歪曲するようにさせた。
天野が、自分の国日本が国際原子力機関の規則に違反し、福島の核施設で密かに核兵器を製造しているという事実に何の興味も持っていないことは確実だ。日本における破壊的地震の影響で、福島で行われていた秘密作業が暴露された。天野は、イスラエルとイスラエル・ロビーのために、イランによる国際原子力機関違反を"発見"する上で、申し分のない走狗を進んで演じるつもりなのだ。
アメリカの原子力科学者会報による、世界が、どれほど核戦争に近づいているかを示す指標"世界終末時計"は、深夜まで、あと6分のところにある。
イスラエルの対イラン策謀、ウイリアム・デイリー大統領首席補佐官左遷というオバマ・ホワイト・ハウス職員の内部メルトダウン、そして、SCOによる、ロシアと中国の庇護の傘に入るようにというイランへの呼びかけ等により、時計は数分間前進してしまった。
記事原文
The War Clouds Form over Iran Wayne MADSEN (USA) | 10.11.2011 | 00:00
http://www.strategic-culture.org/news/2011/11/10/the-war-clouds-form-over-iran.html
イランで長距離弾道ミサイルを開発していた准将が爆破工作で殺され、核施設では新たなコンピュータ・ウイルスが発見されたが、実行犯はモサドだとする説が流れている 2011.11.14
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201111140001/
11月12日にイランで革命防衛隊の基地が爆破され、ミサイル開発プログラムの中心的な人物で新しい長距離弾道ミサイルを開発していたハッサン・モガダム[Hassan Moghaddam]を含む17名が殺されたと報道されている。
イスラエル軍に情報源を持つと言われるコメンテーターのリチャード・シルバースタイン[Richard Silverstein]によると、爆破したのはイスラエルの情報機関モサドで、MEK(ムジャヒディン・ハルク[Mujahedin-e Khalq])の協力を得て実行したのだという。
MEKやクルドの分離独立派をアメリカやイスラエルの情報機関が手先として使っていることは、以前から指摘されている。「ジュンダラー[Jundallah](神の兵士)」と名乗るスンニ派のアル・カイダ系グループもイラン国内でアメリカの秘密工作に協力している。
また、イランの核施設で使われているコンピュータに、新しいウイルス「ドゥク[Duku]」が感染していたともいう。
以前、スタックスネットなるコンピュータ・ウイルスの感染でイランの核開発が遅れたこともあるが、同じような手法を使ったということなのだろう。感染に気づかずに動かしていると、深刻な放射能汚染をもたらしかねない。
現在、シリアが内乱に近い状態になっているが、この混乱にはバシャール・アル・アサド[Bashar al-Assad]大統領のオジにあたるリファート・アル・アサド[Rifaat al-Assad]を中心とする勢力、
あるいは父親の政権で要職にあった人物で今はパリを拠点にしているアブドゥル・ハリム・カーダム[Abdul Halim Khaddam]を中心とする勢力などが関係している。
トルコを拠点としている「シリア自由軍」は、自分たちの兵力を1万5000名だと主張している。
そうした反体制派の背後では、ネオコン(アメリカの親イスラエル派)などが蠢いている。米国務省がシリアの反体制派に資金を提供していたことを示す外交文書も公表されている。
サウジアラビアなどスンニ派の湾岸独裁産油国は、イラン、イラク、シリア、レバノンのつながりを警戒してきた。イラン攻撃の動きとシリアの混乱やイランへの戦争圧力を無関係だと考えることはできない。
PYRAMID Floodlights for Olympics - London Stadium 2012 Slideshow
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ZcOwDjd_i9M
by oninomae | 2011-11-17 00:28 | 戦争詐欺・紛争