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リビア 櫻井ジャーナル

カダフィ大佐の息子も生きて拘束された後に処刑された可能性が高く、米英仏軍と手を組んだ反カダフィ軍の戦争犯罪が今後、問題になってくる可能性が高い 2011.10.22
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201110220000/ 

米英仏軍がリビアへ軍事介入を開始したのは今年3月のことだった。それから7カ月、ムアンマル・アル・カダフィの排除に成功、欧米の企業は石油利権に群がり始めている。アフリカの資源利権を手放さずにすんだと喜んでいる人びともいるだろう。

しかし、カダフィを処刑する様子を撮影した映像がインターネットで流され、新たな問題が浮上している。反カダフィ軍の犯罪行為をどのように処理するかということである。カダフィの息子、ムタッシムも処刑された可能性が高い。

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生きたまま拘束され、水を飲む様子を撮影した映像には存在しない大きな傷が死体の気管あたりにあるのだ。今後、反カダフィ軍の戦争犯罪が問題になることは間違いない。

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本ブログでは何度も指摘しているように、反カダフィ軍の地上部隊はアル・カイダ系の武装勢力が主体。傭兵や寝返ったリビア軍将兵もいるようだが、やはりLIFG(リビア・イスラム戦闘団)の存在は大きい。この地上軍と米英仏の航空兵力を「解放軍」だとすることはできない。

繰り返しになるが、反カダフィ軍は約7000人を拉致、不当に拘束していると国連は批判、その多くはアフリカ中南部の出身者だと見られている。

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この問題に関しては、アムネスティー・インターナショナルも報告書を出している処刑も行われていると伝えられているが、カダフィ親子のケースを見るならば、十分にありえる話だ。

19世紀以来の歴史を振り返ると、イギリスを始め欧米の国々は経済の行き詰まると、軍事侵略と略奪で解消してきた。経済が行き詰まる最大の要因は富の偏在にある。富裕層は溜め込んだ富を手放そうとはせず、他国の財宝を奪って問題を解決しようとしてきたのだ。スメドリー・バトラー米海兵隊少将が「戦争は押し込み強盗」と言ったのは、こうしたことだ。

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現在も経済は行き詰まっている。1980年代から投機経済で誤魔化してきたが、それも限界を超えている。その結果がギリシャやウォール街での抗議活動である。欧米の支配層は今回も同じ手法で苦境を乗り切ろうとしているのかもしれないが、軍事力で政治経済問題を解決できる時代は過ぎ去っている。(引用注:予定通り、苦境を作り出して,第三次世界大戦へ持ち込み、人を減らしながら、完全支配を達成しようとしているのだと思いますがね)


反カダフィ派はこれから内部対立が強まるという見方もあるが、それだけでなく、反カダフィ軍の戦争犯罪が明らかになったらどうするつもりだろうか?内乱の中、反「反カダフィ軍」を編成して軍事介入するのだろうか?

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カダフィ殺害に浮かれたクリントン国務長官の発言が顰蹙を買っているが、この処刑は国連や人権擁護団体だけでなく、イスラム世界の人びとから厳しい目で見られている可能性 2011.10.23
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201110230000/ 

リビアのムアンマル・アル・カダフィが殺されたことに関するヒラリー・クリントン米国務長官の発言が話題になっている。「来た、見た、死んだ」とCBSのインタビューの中で口にしたのだが、人の死をこれほど露骨に喜ぶ政治家を見ることは珍しい。

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紀元前47年、ポントス王ファルナケス2世との戦いに勝ったユリウス・カエサルは、その勝利を腹心のガイウス・マティウスに知らせている。そのときに書いたと言われているのが「来た、見た、勝った」。この言葉をもじっての発言だろうが、品が良いとは言えない。

インタビュー後、カダフィ親子が「処刑」される様子がインターネットやメディアで流され、クリントン長官にとって最悪の展開だ。残虐な政治家というイメージは当分の間、ぬぐい去ることができないだろう。国務長官としての仕事にも支障をきたすことになりそうだ。

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ともかく、バラク・オバマ政権はこのところ、殺人を好んでいるように見える。9月30日にアメリカ軍は無人機を使い、アメリカ国籍のアンワール・アル・アウラキ[Anwar al-Awlaki]をイエメンで殺害しているのだが、その際、食事をしていた16歳の息子を含む何人かのティーンエージャーが一緒に殺されたと言われている。

こうした事件に限らず、アメリカはアフガニスタンやイラクでも多くの市民を殺害してきた。リビアで反カダフィ軍の主力がアル・カイダ系の武装集団である以上、カダフィ親子の処刑は必然的な結果だと言える。

こうした暴力的な勢力をアメリカは好んで使ってきた。ラテン・アメリカで民主化運動を潰し、大企業にとって都合の良い体制を作るために編成された「死の部隊」もそうだが、タリバンも同じ。

ソ連軍が撤退した後のアフガニスタンを支配する手先としてアメリカが作り上げたのがタリバン政権。1996年にそのタリバンがアフガニスタンの首都のカブールを制圧した際、ムハンマド・ナジブラー大統領を拘束、大統領兄弟の睾丸を切り取り、ジープで引き回した上で射殺している。イスラム社会はこの政権を支持しなかったようだが、アメリカは石油パイプラインの問題で対立するまで擁護し続けたのである。

ところで、リビアでは新たな内乱が始まる可能性もあるが、横流しされている武器が中東/北アフリカに流れ、各地で戦闘が激しくなるかもしれない。石油/資源利権で浮かれている場合ではない。



シルト市内で国民評議会の部隊が多くのカダフィ軍兵士を処刑、その近くにはカダフィ殺害に協力した米国の専門家や英国の特殊部隊員もいた模様だ 2011.10.24
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201110240000/ 

ムアンマル・アル・カダフィを支持する武装勢力が立てこもっていたシルトの市内で多くの処刑されたカダフィ軍兵士の死体が発見された。反カダフィ軍によるものだと見られている。その近くではカダフィ自身が「処刑」されたわけだが、その現場近くにアメリカの専門家やイギリスの特殊部隊員もいたようだ。

シルト攻撃に「協力」するため、電子機器を扱うアメリカの専門家が市内の動向を監視する一方、イギリスの特殊部隊SASの隊員は「国民評議会軍」を指揮していたとイギリスのテレグラフ紙は伝えている。

カダフィ軍が数十台の車両で脱出を図ると、アメリカは無人機のプレデターで車列をミサイル攻撃、SASは地上で反カダフィ軍を指揮していた。さらにフランスの戦闘機は2発のGBU-12(レーザー誘導爆弾)を車列に投下している。この攻撃で25名以上のカダフィ軍兵士が死亡、カダフィ自身も足に負傷した模様だ。

その後、カダフィはリンチを受けた上で頭と胸を撃たれて「処刑」されたのだが、処刑されたのはカダフィだけでなかった。殺された53名のカダフィ軍兵士をヒューマン・ライツ・ウォッチがシルト市内で発見、調査を求めている。

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その場所を支配していたのは反カダフィ軍だったことから、反カダフィ軍による捕虜の処刑だと見られている。同じ場所でAFPの記者は、処刑された死体60体を見たという。

http://jp.wsj.com/World/Europe/node_330939
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反カダフィ軍はアフリカ中南部の出身者も拉致、その大半は労働者だと見られている。

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この件についてヒューマン・ライツ・ウォッチが問題にしているほか、国連は反カダフィ軍が約7000人を拉致、不当に拘束していると批判している。またアムネスティー・インターナショナルもこの問題に関する報告書を出している

リビアは産油国。米英仏としても欲しい利権だろうが、それだけでなく、カダフィはアフリカ中南部を自立させるために支援、アフリカを南アメリカのようにまとめようとしていたと言われている。

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つまり、この地域を植民地化し、その後も利権を握ってきた欧米各国としては許し難い行為だ。

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アフリカに食い込みつつあった中国やロシア、つまりBRICSとの戦いという要素もあるだろう。

これが「リビア解放」の現実だが、新体制が安定すると考えている人は少ないだろう。何しろ、すでにムスリム同胞団系の人びととカダフィ体制からの離反組の対立が表面化している

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しかも、アル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)が武装集団として大きな影響力を持っている。

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Mr al-Hasidi admitted he had earlier fought against 'the foreign invasion' in Afghanistan

歴史的にムスリム同胞団とアル・カイダは関係が深いとも言われているだけに不気味だ。



1996年にカダフィ暗殺を試みた同志、英国情報機関MI6と新生リビア軍を動かしているアル・カイダ系のLIFGが今でも親密だということを示す新たな文書が見つかった 2011.10.25
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201110250001/

イギリスの対外情報機関MI6とアル・カイダ系の武装勢力との関係を示す文書がリビアの首都トリポリで発見された。混乱の中、イギリス大使が放棄した住居から見つかったという。

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Britain already faces legal action over its involvement in the plot to seize Abdul Hakim Belhaj, who is now the military commander in Tripoli. Photograph: Francois Mori/AP

反カダフィ軍の中核を占めているLIFG(リビア・イスラム戦闘団)は1990年代の設立されたのだが、そのメンバーはアフガニスタンでソ連軍と戦っていたイスラム武装勢力に所属していた。つまり、本ブログでは何度も指摘しているようにアル・カイダとつながっている。

1996年にLIFGはムアンマル・アル・カダフィの暗殺を試みて失敗しているが、イギリスの治安機関MI5に所属していたデイビッド・シャイラーによると、この暗殺計画の資金をMI6が出している

このLIFGをアメリカは「テロ組織」と認識、2004年にはジョージ・テネットCIA長官(当時)がLIFGをアルカイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言したほどである。

LIFGの幹部で現在は暫定国民評議会軍を指揮しているアブドゥル・ハキム・ベルハジは2004年にマレーシアで逮捕され、CIAの刑務所に入れられた後、リビアに引き渡されて拷問を受けている。カダフィ政権はCIAに協力した形だ。

ベルハジの側近、サミ・アル・サーディも同じように拘束され、拷問を受けた経験がある。このふたりは2010年に釈放されているが、リビア政府独自の判断でのことではないだろう。

ところで、MI6から資金の提供を受けてLIFGがカダフィ暗殺を企てた1996年、アル・カイダはサウジアラビアのアメリカ軍基地を爆弾で攻撃、98年にはケニアとタンザニアのアメリカ大使館を爆破、そして2000年にはイエメン沖でアメリカ軍の駆逐艦コールを攻撃している。

1996年と2011年の間、MI6とLIFGはどのような関係にあったのだろうか?2001年9月11日の出来事も含め、アル・カイダと米英情報機関との関係を洗い直す必要がある。


米国では国務長官やメディアはカダフィがリンチを受けて殺されたこと知って大はしゃぎだが、反カダフィ派の残虐な性格が明らかになり、米国を取り巻く状況は悪化している 2011.10.26
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201110260001/

ムアンマル・アル・カダフィがシルトの近くで反カダフィ軍に拘束され、リンチを受けた上で殺されたのは10月20日のこと。シルト市内でヒューマン・ライツ・ウォッチは処刑された53名のカダフィ軍兵士の死体を発見しているが、さらに300名近い死体も発見された。いずれも後ろ手に縛られ、頭部を撃たれているので、反カダフィ軍によって処刑されたと見られている。

現在、反カダフィ軍の主力はLIFG(リビア・イスラム戦闘団)。アメリカの当局からテロリストだと見なされている組織だ。今回、LIFGは米英仏軍の手先としてカダフィ体制の打倒に協力したが、早くも暴力的な本性を見せたわけである。

反カダフィ軍はアフリカ中南部の出身者を敵視、「傭兵」という名目で片っ端から拘束しているようだ。国連は反カダフィ軍が約7000人を拉致、不当に拘束していると批判しているが、そのうち少なからぬ人がアフリカ中南部の出身者だと見られている。

国外へ脱出せず、リンチを受けた上でカダフィは殺されたわけだが、その過程で反カダフィ軍の残虐性が明らかになっただけでなく、米英仏軍の傀儡にすぎないことも露見してしまった。国民評議会はNATO軍の撤退を先に延ばすように求めたというが、今の状況を考えれば当然だろう。リビア国民が「解放」を喜んでいるという単純な状況ではない。

カダフィの処刑をアメリカのメディアは露骨に喜んでいるが、ヒラリー・クリントン国務長官もテレビカメラの前で大はしゃぎだった。どうやらアメリカの支配層は「民主主義」を装うだけの余裕をなくしている。もっとも、すでにジョージ・W・ブッシュ政権は先制攻撃、しかも偽情報を流しての侵略攻撃を実施しているが。国内では「1%」の富裕層に富を集中させる不公正なシステムに抗議する行動を暴力的に排除している。

ソ連軍が撤退した後に内乱状態になったアフガニスタンを統一するためにアメリカの支配層はタリバンを使って安定させようとした。その思惑通り、タリバンは1996年に首都のカブールを制圧したが、その際の残虐行為は有名だ。そのタリバンをアメリカはコントロールしきれずに現在に至っている。リビアでも似た展開になるかもしれない。

経済システムが破綻しているアメリカ。これまでアメリカは支配システムを築くために経済侵略と軍事力を車の両輪のように使ってきた。経済侵略の行き着く果てには「自由貿易」がある。この経済システムに支配された国では一部の支配層を除き、大多数の庶民は貧困化して社会は破壊される。勿論、アメリカの大企業は大儲けである。

単純な略奪だけでなく、そうした経済システムを押しつけるためにも軍事力は使われてきたのだが、そうした手口はすでに広く知られていて、機能しなくなっている。結局、軍事力の行使は戦争ビジネスを儲けさせるだけで国家を衰退させる。不公正な政治経済システムに対する抗議も暴力で封印しようとしているようだが、逆効果。暴力に頼りはじめた体制に未来はない。

by oninomae | 2011-10-26 00:03 | 金融詐欺  

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