嘘つきについて 武田邦彦 + 櫻井春彦
http://takedanet.com/2011/06/post_ce95.html
複数の方、及びやや公的なところから、名古屋の栄のテレビ塔の付近で1時間に0.15マイクロシーベルの値を観測したというデータがありました。
東京でも葛飾区等を別にしたら、1時間に0.11マイクロシーベル等を超える値はそれほど多くないので、名古屋でこのような数値が観測されたことは注目しなければいけません。
原因としては6つほど考えられます。
1) 福島原発からの放射性物質が日本全土におよぶ大きな風の流れで直接、名古屋の栄まで来た、
2) 福島原発で漏れた放射性物質が、いったん関東の表土に降り、それが二次的に風で愛知県まで飛んできた、
3) 福島の瓦れきやホウレンソウ等を愛知県に人間(自治体や生協)が運んできて、そこに含まれていた放射性物質が人口の密集した栄に集まった、
4) どの靴の裏についた放射性物質が徐々に移動して、栄のような人口が密集するところで出てきた、
5) 浜岡原発で小さな事故が起こっていたが、実はその時に放射線が漏れていて、それが静岡のお茶や名古屋の栄の放射線として出ていた、
6) 敦賀の原発等から漏れた放射性物質が風に乗って名古屋まで来た(実は原発で少しずつ放射性物質の漏えいがあったが、情報が隠匿されていたという形跡もある)、
普通に考えると、上の1)から4)が原因と考えられるが、何しろ日本の電力会社の隠匿体質は相当なものなので、浜岡や敦賀の原発から本当は放射性物質が漏れていたとも考えられる。
何しろ今まで名古屋の放射線量は一つの場所だけで測定して居たので、これからはきめ細かく慎重に測定を続けて、その原因をはっきりさせなければならないだろう。
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このブログで指摘しているように、今回の福島原発の漏えいは通常の原発事故のように数億ベクレルではなく、80京ベクレルを超えるものなので、日本全土に広がる可能性がある。
その点では「瓦れきを移動したり、放射性物質を含むほうれん草を販売した人」は、長期的には大きな犯罪にあたる行為とも考えられる。
たびたび警告しているが、1年1ミリシーベルトを超える被爆をする可能性のある人に「健康に影響がありません」と言ったり、放射性物質が含まれるものを移動したりする人は、将来のことを十分に考え、「自分が責任を取れる範囲」も考えて行動をお願いしたい。
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いずれにしてもこの世の中には悪い人がいて、せっかく法律で放射線に対する防御基準を決めているにもかかわらず、この非常時に、次から次と放射性物質を拡散し続けているので、一方ではわたくしたちはそれに対して防御をしていかなければいけない。
私は10年程前に「リサイクル汚染列島」という本を書いた。
リサイクルが始まるまで、私たちは廃棄物貯蔵所から毒物が流れて困っていた。 その廃棄物を、「リサイクルは良いことだ」ということで、毒物を除去せずにリサイクルする例が増え、それによって水銀や鉛などで日本国土が汚染されてきた。
それを事実と論理で指摘したのが、青春出版からの「リサイクル汚染列島」だった。わたくしは、現在のごみの減量よりも、将来わたくしたちの子供が水銀や鉛で汚染された列島に住むということに心配をしたからだ。
今回も瓦礫をリサイクルをするとか、福島を助けるということで、放射性物質を除去せずに全国にばらまいている。
わたくしは、むしろ集中的に処理するべきものであり、日本列島全体に放射性物質は拡散させると、将来、子供たちが苦しむことになると思う.
その一つが名古屋・栄の0.15マイクロだろう。
(平成23年6月23日 午前8時 執筆) 武田邦彦
メルトダウンを認めた東電のシミュレーションは、地震の揺れで原発が壊れた事実を隠すことが目的だという可能性 櫻井春彦 2011.06.22
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201106220000/
日本の政治家、官僚、大企業経営者、学者、そして報道機関はこの期に及んでも原子力政策をあきらめていない。事実を直視せず、妄想の世界に浸かっている様子を見ていると、日本の敗戦が明らかになっても戦争を継続しようとした大本営の参謀たちを連想させる。
自分たちの都合しか考えられないという点で、日本の支配層は今も昔も基本的に同じだ。かつては侵略戦争、現在は原子力政策。個人的な「カネ儲け」と「核兵器」に対する棄てきれぬ思いが原子力政策の原動力なのだろうが、その代償として日本は放射能に汚染され、多くの子どもたちから未来を奪うことになる。そうした政策を推進してきた政官財学報の責任は重く、その罪は万死に値する。
そうした政策を続けるためには、事故の原因を福島第一原発に特有のものだということにする必要がある。そこで、地震の「揺れ」が事故の原因だと認めるわけにはいかず、全ての原因は「津波」にあると主張するのだが、データはそうした説明と矛盾し、説明に苦しむことになる。そこで、都合の悪いデータを無視したシミュレーションで誤魔化そうとしているようだ。
地震から間もなくして、福島第一原発1号機では、格納容器の圧力が通常の1気圧から8気圧まで上昇している。このデータから冷却材喪失事故が起こった可能性が高いと推測した専門家がいる。圧力容器の設計に携わっていた田中三彦氏や格納容器を設計していた渡辺敦雄氏らである。
田中氏は原子炉で何が起こったかを詳しく分析、3月18日に会見で配管が損傷したか破断した可能性を指摘、その後に公表されたデータに基づく分析もしている。「主蒸気逃がし安全弁」が開いて閉じなくなった可能性もあるのだが、問題の時点における原子炉の圧力が弁が開く条件に達していないため、通常なら開かない。(「科学」、2011年5月号)
田中氏の説明は合理的であり、東電や政府の説明に比べてはるかに説得力があると私は考えている。6月21日にも配信された同氏の分析は次の通り。
「福島原発事故シナリオ(田中氏の分析) 1/2」
「福島原発事故シナリオ(東電のシミュレーション批判) 2/2」
また、渡辺氏は格納容器の圧力が8気圧まで上昇した理由について分析している。配管が破断するような事故が起こったとしても、格納容器の圧力は4気圧に収まるように設計されていたはずで、その設計圧力を大幅に上回った明確な理由は示されていなかった。
その原因を同氏は毎日新聞の取材に「地震で圧力抑制プールの水蒸気管が水面から露出して格納容器全体の圧力を高めた可能性がある」と答えている。つまり、余震によって、圧力抑制プールが本来の機能を果たさなかった可能性があるということだ。
日本の政官財学報は一貫して原子力政策を維持し、原発を動かし続けようとしている。そこで、事故に関する情報を隠し、ウソをついてきた。原子炉や使用済み燃料プールだけでなく、放射線の影響についても「安全デマ」を流し続けている。 国際的に批判されているデマだが、そのデマを信じている人は少なくない。
by oninomae | 2011-06-24 00:03 | 放射能・ラジオハザード