ビル・ゲイツ-東芝-原子力
「ビル・ゲイツ氏と東芝が組み次世代原発開発か」、のニュースと小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)の見解 3月 25th, 2010 in スタッフ
http://staff.energy-shift.org/2010/03/20
今週(3月24日-)、マイクロソフトコーポレーションの会長 ビル・ゲイツ氏が日本の企業 東芝と共に次世代原発開発に乗り出すかも、というニュースが一般紙などを賑わせました。
ビル・ゲイツ氏と言えばコンピューターのソフトウエア開発・提供で巨額の資産を所有する人であり、知名度も高いので、このニュースには注目が集まったように思います。
詳しいニュースの内容は 以下の報道一覧で確認してください。
http://news.fresheye.com/clip/6037315/news/?from=more_news
どれからも「話題性」しか伝わってこず、これまで原子力やエネルギーに関心の薄い人にもビル・ゲイツ氏の名前があることで気に留まるところだったのではと思うと、「夢の・・・」なんて形容詞は 騒ぎすぎ だと思いました。 というか、誰も良くわかってないのでは?
報道のどれからも抜けているのは 放射性物質を扱うこと自体について情報がないことだと、小出先生からの見解を見て気がつきました。報道のほとんどが 経済面ニュースです。科学面でのニュースは今後出てくるでしょうか。
小出裕章氏(京都大学原子炉実験所)~原子力利用に問題提起を続ける研究者~からの今回のニュースについての見解。
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今回の報道は、まったく唐突なもので、TWRという記号が何の頭文字かすら私は知りません。(引用注:Traveling-Wave Reactorだそうです。計画としては、例によって、熱媒体にNaを使っている)
ただ、報道を見る限り、劣化ウランを燃料にする、そして東芝の4S炉と共通の技術の部分が多いとのことで、この炉は高速炉です。東芝の4S炉は「4S=Super-Safe, Small and Simple」の頭文字をとったもので、電気出力1万~5万kWのごくごく小型のナトリウム冷却高速炉です。
しかし東芝の4S炉など、世界のどこでも動いていません。おそらくはナトリウムを冷却材に使うような原子炉は今後も動かないでしょう。
今日(こんにち)原子力発電に利用されているのはほとんどが軽水炉です。そうなったことは技術的な必然です。水は比熱が大きく冷却材としては最適ですし、透明です。また、放射化に関しても、トリチウムが若干できる程度で済みます。
水を冷却水に使えない高速炉は、ナトリウムなどを冷却材にしようとしましたが、比熱が小さく「熱しやすく冷めやすい」材料でもともと不適です。そして不透明(引用注:高温では銀色の液体)であるため、トラブルが起きた時に、調査に多大な困難が伴います。また、放射化についても短寿命、長寿命の核種が生成されてしまい、施設の維持が著しく困難になります。
参照:Isotopes of sodium
http://en.wikipedia.org/wiki/Isotopes_of_sodium
There are thirteen recognized isotopes of sodium. 23Na is the only stable isotope. As such, it is considered a monoisotopic element and it has a standard atomic mass: 22.98976928(2) u. Sodium has two radioactive cosmogenic isotopes (22Na, half-life = 2.605 years; and 24Na, half-life ≈ 15 hours).
Acute neutron radiation exposure (e.g., from a nuclear criticality accident) converts some of the stable 23Na in human blood plasma to 24Na. By measuring the concentration of this isotope, the neutron radiation dosage to the victim can be computed.
22Na is a positron-emitting isotope with a remarkably long half-life. It is used to create test-objects and point-sources for Positron emission tomography.
おまけに、化学的な活性が強く、空気と触れると発火、水と触れれば爆発します(引用注:当然です。「もんじゅ」で有名になりましたが)。
こんな材料を使う原子炉が実用化しないことは当然で、世界中の高速炉は皆開発が断念されました。
今回報道されているTWRは10万~100万kW とのことで、4S炉のような小型の原子炉ではありませんので、一層困難で、 報道にも「長期間の利用に耐えられる材料の確保という課題はあるが、」とあるとおり、材料すらがありません。
ビル・ゲイツの名前を利用した原子力推進派の宣伝のようにも思いますが、こんなバカげた計画を大々的に取り上げるマスコミ自体が見識がないと言うべきでしょう。 (引用注:もちろん、原子炉に希望を持たせるために、というか原子炉を増設させるために、わざと流しているんですよね・・・)
以下略
参照
京都大学原子炉実験所 小出裕章先生のサイト
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html
「鉛投げ」じゃないのか?
ビル・ゲイツ:羊の皮を被った悪魔主義者か? By Henry Makow Ph.D.
http://satehate.exblog.jp/8532436
ビル・ゲイツの想像上の慈善事業は別のアジェンダに奉仕する by David Rothscum 1
http://satehate.exblog.jp/13527412
ビル・ゲイツの想像上の慈善事業は別のアジェンダに奉仕する by David Rothscum 2
http://satehate.exblog.jp/13533627
ビル・ゲイツの想像上の慈善事業は別のアジェンダに奉仕する by David Rothscum 3
http://satehate.exblog.jp/13541718
ヒトの免疫学的不妊化 2009年のワクチン接種オデッセイ By A. True Ott, PhD
http://satehate.exblog.jp/12593371
北極の「最後の審判の日・種子貯蔵庫」 By F. William Engdahl 1
http://satehate.exblog.jp/13742067
デジタルワークスタイル/ヴァーチャルマネー 動物農場はいかが?
http://satehate.exblog.jp/10729507
追記
新潟県中越沖地震で損壊した柏崎刈羽原発 翌年春周辺の桜に大異変が起きていた 2010年4月 5日
http://www.ihope.jp/2010/04/05151153.html?utm_medium=bt.io-twitter&utm_source=twitter.com&utm_content=backtype-tweetcount
2007年7月に起きた新潟県中越沖地震。
あの地震により東京電力柏崎刈羽原発からは大量の放射能が漏れていた可能性がある。翌2008年春、原発周辺の桜の花に、かつてない異変があらわれたのだ。
・・・
そんな不安を裏付けたのは、物理学者の槌田敦さん。
東電が公式に発表しているデータからしても、「わずか2日間で700年分の放射能を出したと推定できる」と指摘。
by oninomae | 2010-03-28 21:07 | 放射能・ラジオハザード