北極の「最後の審判の日・種子貯蔵庫」 By F. William Engdahl 3
北極の「最後の審判の日・種子貯蔵庫」 By F. William Engdahl
"Doomsday Seed Vault" in the Arctic Bill Gates, Rockefeller and the GMO giants know something we don’t
By F. William Engdahl (globalresearch.ca) 2007年12月4日 翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo
http://tamekiyo.com/documents/W_Engdahl/doomsday.html その3(最終です)
なぜ今、スバールバルなのか?
なぜ、ビル・ゲイツやロックフェラー財団が、デュポン、シンジェンタなどの大手遺伝子操作アグリビジネス、CGIARとともに、北極に「最後の審判の日種子貯蔵庫」を建設しているのだろうか?という疑問を持って当然だろう。
そもそも誰がそんな種子バンクを使うのか?遺伝子バンクの主な利用者は、植物の品種改良業者である。今日のところ最大の植物品種改良者は、モンサント、デュポン、シンジェンタ、ダウ・ケミカル、つまり、世界的に植物の特許を持つGMOの巨人たちである。2007年の前半から、モンサントは米国政府と合同で、いわゆる「ターミネータ(自殺、殺し屋)」(正式には遺伝子制御技術=GURT)の世界特許権を保有している。ターミネータは、特許化された商業種子が1回の収穫を終えると「自殺」する不吉な技術である。私企業である種子会社は、全幅のコントロール権を持つ。人類の歴史で、ここまで食糧の環(生産・流通)に絶対的な権力とコントロールが及んだことはなかった。
この狡猾な遺伝子操作ターミネーターの性質によって農家は、人々の必需品である食糧(米、大豆、コーン、小麦、その他主要作物)の新しい種子を得るために毎年モンサントなどのGMO種子供給者に頼らなければならない。もしも世界中に導入されるなら、10年もしない内に、世界の食糧生産者の大半は、モンサント、デュポン、ダウ・ケミカルといった3~4社の巨大種子会社が束縛する奴隷(新たな形態の封建農奴)になるだろう。
そして、もちろん、そうなれば、ワシントンの方針に逆らうような政治をする途上国への種子供給を絶てといった命令が、主人であるワシントン政府からこれら種子会社に下るという状況も十分に想定されるのである。 「自分のところでは、そんなことにはならない」と言う人は、もっと具体的に現在の世界で起きていることを見るべきだ。3~4社の巨大アグリビジネス私企業(いずれも米国拠点)に権力が集中しているという事実だけをとっても、すべてのGMO作物を法的に禁止する根拠になる。彼らの言う収穫増加が本当だったとしてもだ(明らかに本当ではない!)。
これら私企業(モンサント、デュポン、ダウ・ケミカル)は、こと人の生命を守るという意味においては、無垢であるとは到底いえない過去を持っている。彼らは、ダイオキシン、PCB、エージェント・オレンジ(枯葉剤)などを開発して拡散した。彼らは、有毒な化学製品の使用が、発癌性など人間の健康にひどい影響を及ぼすことを示す明確な証拠を、何十年も隠し続けてきた。彼らは、世界で最も普及している除草剤(グリホサート)が、飲用水に沁み込んで毒性を持つことを示す深刻な科学調査を闇に葬った。グリホサートは、大部分のモンサントのGM種子の購入とセットになったモンサントのラウンドアップ除草剤の主要成分だ。【脚注9】
デンマークでは、地下水の汚染が確認されたため、2003年にグリホサートを禁止している。【脚注10】
種子・遺伝子バンクに貯蔵された多様性は、植物の品種開発と、さまざまな基礎的バイオ研究のための原料だ。何十万もの標本が、そうした目的で毎年配布されている。国連のFAOのリストによれば、世界中に約1,400の種子バンクがあり、その最大のものは米国政府が所有している。その他に大きな種子バンクを所有しているのは、その規模の順に、中国、ロシア、日本、インド、韓国、ドイツ、カナダである。またCGIARは、世界中で精選されたセンターで、種子バンクのネットワークを運営している。

「緑の革命」アグリビジネス・モデルを広げるためにロックフェラー財団とフォード財団によって1972年に設立されたCGIARは、フィリピンからケニヤまで、大半の私有の種子バンクをコントロールしている。これら現存する種子バンク全体で、650万種類の種子を保存しており、その内、約200万が他とは違う「固有」の種子である。
スバールバルの「最後の審判の日貯蔵庫」には、450万種の異なる種子を収納する能力がある。

GMOは生物戦争の武器?
我々は、ようやく危険の核心に迫ってきた。ビル・ゲイツとロックフェラー財団のスバールバルの計画に内在する「悪用」の可能性である。 生活の糧として必要な世界の大半の作物(米、コーン、小麦、そして、大豆など飼料用穀物)の種子の特許開発が、最終的に生物戦争という恐ろしい形で使われることがあるのだろうか?
1920年代からロックフェラー、カーネギー、ハリマンなど裕福なエリート家系の資金を受けてきた優生学勢力が公然と認める狙いは、彼らが「消極法的優生学」(望ましくない血統を計画的に絶やすこと)と呼んだものに具体化した。 〔訳註:当初の優生学では、優良な血統を「創造」することを目指していたが、成果が得られなかったため、不良な血統を撲滅することで、社会全体の品質を上げる「現実的」な方法を採用したのである。これが「消去法的優生学」の意味である〕 マーガレット・サンガー(過激な優生学者であり、「国際家族計画連盟」の創設者。ロックフェラー家の親友)は、1939年にハーレムを拠点に「黒人プロジェクト」というものを設立した。 彼女が友人宛の手紙で打ち明けているように、その目的はすべて「我々は黒人を絶滅したい」という一念であった。 【脚注11】

2001年、カリフォルニア州の小さなバイオ企業エピサイト(Epicyte)は、食べた人の精液を不妊化するという殺精子剤を含有するGMコーンを開発したと発表した。

その当時、エピサイトは、デュポンとシンジェンタと合弁事業で、その技術を普及させることを合意していた(デュポンもシンジェンタも、スバールバル・最後の審判の日貯蔵庫のスポンサーだ)。 その後、エピサイトは、ノースカロライナ州のバイオ企業に買収された。知ってびっくりだが、エピサイトは、米国農務省の研究資金で、その殺精子GMOコーンを開発していた。 世界的な反対にもかかわらず、ターミネータ技術(現在モンサントが所有)の開発に資金を与え続けたのと同じ米国農務省である。
1990年代には、国連WHOは、ニカラグア、メキシコ、フィリピンで、15歳から45歳の数百万人の女性に、破傷風を予防すると称してワクチンを接種するキャンペーンを実施している。破傷風とは、錆びた釘を踏んだりして発生する病気だ。ところが、ワクチンは成人男性にも男の子供にも投与されなかった。当たり前だが、錆びた釘を踏む可能性は、女性と変わらないのにだ。
この奇妙な矛盾に、メキシコのコミテプロビダ(ローマ・カトリックの在家団体)は疑念を抱き、ワクチンのサンプルを検査した。すると、WHOが出産年齢の女性に限って広めている破傷風ワクチンは、ヒト絨毛性・性腺刺激ホルモン(hCG)を含有することが明らかになった。これは天然のホルモンだが、破傷風トキソイド(毒素)と結び付くと、女性が妊娠を維持できなくなる抗体を刺激するのだ。予防接種を受けた女性の一人として、そんな説明は受けていない。

ロックフェラーの人口評議会、世界銀行(CGIARの本部)、米国の国立衛生研究所とともに、ロックフェラー財団が、1972年スタートの20年もの長期プロジェクトに関与し、WHO用に開発した破傷風毒素含有ワクチンで秘かに中絶活動を行っていたことが判明したのは、後のことである。

なお、スバールバル種子貯蔵庫の主催国であるノルウェー政府は、このスペシャル堕胎効果付き破傷風ワクチンの開発に4,100万ドルを寄付している。 【脚注12】
ノルウェー政府からロックフェラー財団、世界銀行に至る、これら同じ組織が、スバールバルの種子バンク・プロジェクトにも関与しているのは、偶然の一致だろうか? 米国議会によって制定された「1989年生物兵器・反テロ法」を起草したフランシス・ボイル教授(Francis Boyle)によると、ペンタゴンはブッシュの二つの国家戦略指令の一環として「現在、生物戦を遂行し勝つための準備をしている」、それも「一般には知らせることなく、審査も受けることなく」と、2002年に述べている。 ボイルは、2001年~2004年だけで、米国連邦政府は145億ドルという驚異的な金額を、民間のバイオ戦争関連の仕事に支出したと付言している。

ラトガーズ大学の生物学者リチャード・エブライト(Richard Ebright)は、米国の300以上の科学機関と約12,000人の個人が、現在、生物戦に使用できる病原体にアクセス可能だと推定している。

米国政府のNIH(国立衛生研究所)の研究補助金だけでも、生物戦に使用可能な伝染病の研究が497件もある。もちろん、今日、いろいろなものがテロで正当化されているが、これも潜在的なテロ攻撃に対する防御に必要だという説明で正当化されている。
生物戦の研究に費やされる米国政府の資金の多くは、遺伝子工学に関係している。MITの生物学教授ジョナサン・キング(Jonathan King)は、「バイオテロ研究が増加していることは、我々自身の国民に対する重大な危険が生じていることを意味する」と言っている。

そして、「そうした研究は、いつも防御のためと言われるが、生物兵器に関していえば、攻撃の研究も防御の研究も殆ど同じことだ」とも述べている。 【脚注13】
ビル・ゲイツとロックフェラー財団のスバールバル「最後の審判の日・種子貯蔵庫」が、新たな大量殺戮の道具に使用されるのかどうかは、時が経てば分かることである。そんなことになれば、今度こそ末期状態の偉大なる惑星・地球の息の根を止めてしまうだろう。

脚注
9 Engdahl, op. cit., pp.227-236.
10 Anders Legarth Smith, Denmark Bans Glyphosates, the Active Ingredient in Roundup, Politiken, September 15, 2003, in organic.com.au/news/2003.09.15.
11 Tanya L. Green, The Negro Project: Margaret Sanger’s Genocide Project for Black American’s, in www.blackgenocide.org/negro.html.
12 Engdahl, op. cit., pp. 273-275; J.A. Miller, Are New Vaccines Laced With Birth-Control Drugs?, HLI Reports, Human Life International, Gaithersburg, Maryland; June/July 1995, Volume 13, Number 8.
13 Sherwood Ross, Bush Developing Illegal Bioterror Weapons for Offensive Use,’ December 20, 2006, in www.truthout.org.
原文の紹介
"Doomsday Seed Vault" in the Arctic
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=7529
GlobalResearch.ca
http://www.globalresearch.ca/
F.William Engdahl ホームページ http://www.engdahl.oilgeopolitics.net/

掲載2010年2月15日
訳者メモ
2年ほど前の記事だが、ビル・ゲイツのことが書いてあるので紹介する。また、北極に最後の審判に備えて種子を貯蔵するというSFっぽい面白さもあるかと思う。
最近でも、ビル・ゲイツ(財団)については、次のようなニュースが出ている。
ビル・ゲイツ氏、途上国向けワクチン支援へ9000億円寄付
米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は29日、妻のメリンダさんと世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で記者会見し、夫妻が運営する基金が途上国向けのワクチン研究支援のため今後10年で100億ドル(約9000億円)を寄付すると発表した。
同基金は過去10年で45億ドルのワクチン支援を行ってきたという。ゲイツ氏は各国政府の途上国支援の重点が環境分野にシフトし、保健分野の優先度が下がることに懸念を表明した。(ダボス=岐部秀光)(00:18)
2010年1月29日 Nikkei News
グローバル情報=ビル・ゲイツ財団「マラリアのワクチン実用化が間近」、人類初の快挙なるか
米マイクロソフト設立者のビル・ゲイツ氏は、自身の財団がマラリアのワクチンを向こう3年ほどで実用化できると明かした。完全なワクチンの実用化に成功した場合には、人類史上初の快挙となる。英BBCニュース(電子版)が26日に伝えた。(以下略)
2010/01/26 16:11 提供:モーニングスター社
こうした活動がどういう意味を持つのか、少々長いが、今回の記事を読んで頂ければわかるはずだ。 (もちろんこのホームページの読者を裏切るような内容ではない。そもそも本当に慈善事業をする人が、パソコンのOS市場を独占しないでしょ・・・)

参照
ビル・ゲイツ財団、GM研究に2,500万ドル贈与 農業情報研究所(WAPIC) 03.10.16
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/03101602.htm
Bill Gates Blames Hunger in Africa on Anti-GMO Environmentalists Reuters, Oct 15, 2009
http://www.organicconsumers.org/articles/article_19384.cfm

by oninomae | 2010-02-15 22:12 | バイオハザード・GMO食品