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海賊、密輸、奴隷貿易の陰の主役、テンプラー・メーソン集団


米国エリートの黒い履歴書 

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この本は、なかなか参考にはなるものの、ロスチャイルド家の名が「サスーン家が妻を迎えた」との文脈でしか出て来ない、ウォーバーグ家、クーン・ローブ、シッフ家、マイヤー家、ゴールドマン・サックス、ロックフェラー家、その他が全く出てこない、「不思議な」米国エリート本です。肝腎なところで疑問も感じるので今まで紹介しませんでしたが、そういうその他(もっと古いところ?)に焦点を当てたものだと割り切れば、(というか、お互いに言い合ってもらえば?)有用ではあるのでそろそろちょっと紹介しておきます。とりあえず、序章より


序章 血が背負うもの

最大のエリート結社「テンプル騎士団」からフリーメーソン団へ


文明が生まれた初めから、歴史を形づくってきたのはつねにエリートと各種の秘密結社だった。十字軍の時代から二一世紀まで、一握りの家系・血流が、世界のさまざまな事件を支配してきた。彼らは集団として活動し、同族・同階級内で結婚することによって、地位と富を築いてきた。

最大のエリート結社といえば、やはり一二世紀初頭にエルサレムで創設されたテンプル騎士団(聖堂騎士団)だろう。入会には血統と財産が必要とされたが、それは選ばれた少数者の特権だった。

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組織の周辺部では、数々の戦争を遂行するために、また各地に散らばった資産を維持するために、強大な軍事力が必要だった。そうした軍事力は次第に拡大し、やがて陸軍や海軍となり、農地を含めたさまざまな不動産を支配下に納め、ついには一大金融帝国へと成長していった。必要な人員を維持する必要から、入会基準も時代に合わせて変わっていった。しかし支配権を握っていたのは、つねにエリートによる中枢部だった

そんな巨大組織のテンプル騎士団だったが、フランス王(フィリップ4世)の強欲によって突然、非合法化されてしまう(引用注:この頃には、テンプル騎士団が堕落した高利貸しになっていたこともある)。しかし決して死に絶えることはなかった。彼らは地下へ潜ったのだ。これまでは一部の著述家が簡単に触れる程度だったが、最近になって詳細な研究が行われるようになり、地下組織としてのテンプル騎士団の存在に、ようやく光が当たるようになってきた。

テンプル騎士団は軍事面で生き残った。国家と教会の両方から公式に攻撃され、一四世紀には大量処刑や投獄が行われたが、さまざまな勢力に忠誠を誓うことで、各地の軍事結社として生き延びたのだキリスト騎士団やチュートン騎士団(ドイツ騎士団)、現在はローマ法王庁の警護に当たるスイスガード、イギリス王室を護衛するスコットランド連隊(スコッツガード)のほか、小規模だが強力な軍事結社がいくつも、迫害者よりもはるかに長く生き残った。ギリシャ神話に出てくる九頭の怪物ヒュドラのように、こうした結社は生き残り、繁栄し、増殖した。

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そしてその一部は、新たな千年紀に入ってなお健在なのである

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テンプル組織は財政面でも生き延び、再編成された。のちに銀行業に近代的な形式をもたらす巨大なテンプル株式会社は、スイスに移動することで生き残り、少数の銀行家がヨーロッパ・エリートの莫大な財産を管理し、しばしば支配した。スイスの諸州が掲げる旗は、テンプル騎士団のものとほとんど変わらない。

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彼らはアルプスの峠とスイスガード[Swiss Guard]に守られながら、テンプル騎士団の分団の役割を受け持った。その永世中立と秘密保持によって、一四世紀から二一世紀に至るまで、ヨーロッパの資金はスイスに集中している。

学問、発見、友愛といったテンプル騎士団の理想は、世紀を越えて、世界に大きな影響をあたえた。さまざまな科学上の進歩は、その多くが新・テンプル組織によるものだ。キリスト騎士団の団長でもあったポルトガルのエンリケ王子[Infante Dom Henrique]は、航海術を進歩させ、数々の発見航海に資金を提供した。イギリス王立協会[The Royal Society of London]では多士済々な会員が、天文学、医療、果ては錬金術(引用注:果てはは、「人殺しの方法」の方が?)の研究まで推し進めた。その業績には、近代科学の基礎となったものも多い。一三〇〇年代初頭までは、学問や実験は異端と考えられていて、科学者は容易に宗教裁判にかけられた。やがて、ポスト・テンプル組織は秘密主義の重要性を理解するようになる。哲学や科学の議論によって宗教上の迫害を受けるのを避けるためである。

自由、正当な法手続き、民主主義といったアメリカ的概念に多大な影響をあたえたのも、ポスト・テンプル時代のスコットランドで作られたメーソン結社だった。軍の中に一時的なロッジを作って兵士とともに移動していくという「ミリタリーロッジ」の概念は、ヨーロッパの戦闘部隊が持ちこんだもので、これがメーソン的な理想をいっそう推し進め、独立を求めて戦争を始めることになった。ボストンのセントアンドルーズロッジで集会を開いていた各種の秘密集団が、のちにボストン茶会事件(一七七三年)を扇動した。そうした組織は各植民地へと野火のように広がり、コーカスクラブ、ロイヤルナイン、サンズオヴリバティーといった組織から、一三植民地間の連絡組織である「通信連絡委員会」が生まれ、それが大陸会議へと発展し、最終的に各地の民兵部隊が作られるようになった。

組織の多くは秘密裡に作る必要があった。そしてたいていは秘密を守るために、フリーメーソンリー(フリーメーソン団)のロッジで誓いを立てた。クライマックスはフランス軍の到着だった。フリーメーソンリーのつながりで集まった部隊は、高位階メーソンたちと聖ヨハネ騎士団(ホスピタル騎士団)の指揮のもと、ヨークタウンでイギリス軍を打ち破った。

その結果が、選挙で選ばれたアメリカ大統領であり、新たに作られた政府だった。ジョージ・ワシントン[George Washington, 1732-99]はメーソン会員で、メーソンロッジの聖書に手を置き、ニューヨーク・メーソン団の総長に向かって就任の誓いを述べた。連邦議会の議事堂も同様だ。これはフリーメーソン流の幾何学原理を用いて建設され、厳格なメーソン儀式に則って献堂されたもので、居並ぶ政府高官も、全員がフリーメーソンの前掛けを身につけていた。

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海賊、密輸、奴隷貿易の陰の主役、メーソン集団

しかしマイナス面もあった。

さまざまな秘密結社や主だった結社のエリートは、自分たちの地位を永続させるために、あらゆる手段を用いるようになった。自由と平等という高い理想はエリートたちによって歪曲され、彼らは権力を握り続けた。

テンプル騎士団解体の直接の結果は、海賊行為の劇的な増加だった。ヨーロッパ、アメリカ、さらにはインド洋にまで出没したこうした海賊は、それ自体が各地の友愛結社の内部で組織されたものであり、グループの利益を誓い合い、収益の平等な分配を誓約して、さらにはテンプル騎士団の艦隊と同じ戦闘旗[Jolly Roger]を掲げて戦った。

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さらに奇妙なことに、スコットランド、アイルランド、アメリカには、海賊たちが公然と船を入れ、戦利品を売ることのできる港町がいくつもあったフリーメーソン団の細胞が各地の行政府や議会の内部にまで入り込み、そうした「基地」を保護していたのである

密輸も、非合法であるにもかかわらず、世界的な事業へと発展していった。セイラム[Salem](現マサチューセッツ州ダンバース)、ニューポート[Newport, Rhode Island]からカリブ海、バミューダにかけての港町は、どこも海賊をかくまい、取引を援助していたが、彼らは密輸業者を助けることになんの後ろめたさも感じていなかった。かつてフリーメーソン団の各組織から労働組合や熟練工のギルドが生まれ、会員の生活を守るようになったのと同じ理由で、密輸業に関わる者も、信用が第一だった。一八世紀のバミユーダでは、取引の三分の二が違法貿易だったと考えられているが、取引相手の秘密は絶対に守られた。この島は昔も今もフリーメーソン団の要塞であり、現在の税関の建物自体、政府の部局というよりメーソン聖堂を思わせる作りになっている。

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奴隷貿易産業を促進したのも、残念ながらさまざまなメーソン集団だった。初めはポルトガルのキリスト騎士団[the Military Order of Christ, 1318-]が、ヨーロッパヘの人間貨物の輸入を組織し、のちに南北アメリカでの取引に認可をあたえるようになった。ポルトガルやスペインの政府を支配していた各騎士団が、他国の政府に金で認可を売りわたし、各国の政府が会社組織を作るようになって、奴隷貿易は一気に広がった。この事業での最終的な受益者はヨーロッパの王族だった。彼らは利益の分け前と引き換えに、宮廷に出入りするエリート商人や実業家に認可をあたえ、商人や実業家は、最高値をつけた者に奴隷貿易の認可を転売した。したがって新参者も商人階級に入ることはできたのだが、やはりコネクションは財力よりも強かった。アメリカは民主主義と自由企業の国で、理論上は誰もが人身売買に関われるはずだったが、実際にこの事業を支配していたのは、イングランドやフランスの同業者とコネクションのある、一握りのエリートだった。

独立戦争が始まると、ベンジャミン・フランクリン[Benjamin Franklin, 1706-90]は、奴隷貿易を牛耳っていたフランスのフリーメーソン団のエリートに助けを求め、武器や物資、軍事面での援助をあおいだ。アメリカ史の最初の八〇年間、チャールストン[Charleston, South Carolina]からニューポートにかけての奴隷貿易港は、血縁関係のある一握りのメーソン家系が支配していた。ジェファソン家やマディソン家などは、新しい民主主義国家に奴隷制度はいらないと考えたが、彼らは違った。奴隷商人たちは、自由や民主主義よりも重商主義的な資本主義を大切にしていた。

こうした商人たちには、この儲かる貿易をやめるつもりなどさらさらなく、どんなことをしてでも奴隷制廃止運動と戦う構えだった。大統領の地位などは、重商主義のエリートにとっては金で買えるものだったし、金で選挙の行方が決められないとなれば、別の手段に訴えて支配権を握ることができた。たとえば奴隷制廃止の流れを変えようという動きの中で、第九代のハリソン大統領と第一二代のテイラー大統領が怪しげな死をとげており、どちらの場合も奴隷制賛成派の副大統領が権力の座に就いている。しかし死をもってしても奴隷制廃止の流れは止められず、ついにアメリカは空前の破壊的な戦争に突入した。南北戦争は、アポマトックスでジェファソン・デーヴィスの部隊が降服して終結した。しかしエリートたちにとっては終わりではなかった。


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擬似フリーメーソン団ともいうべきゴールデン・サークル騎士団[Knights of the Golden Circle]による陰謀が組織され、リンカーン大統領が暗殺された。これは奴隷解放宣言を無効にし、対英貿易への影響を消し去ろうとするものだった(引用注:お分かりの通り、マネー創造権問題に触れていないのが疑問の芽となるわけです)。 

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戦後の再建時代に汚点を残したのも、やはりメーソン系の「騎士団」であるクークラックスクラン(KKK)だった。

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参照・参考

フリーメイソンの計画 by 林陽 3 古代メイソンと近代メイソンとのつながり
http://satehate.exblog.jp/11899414/

月刊・沈黙の兵器 第00017号 '06/06/29 テンプル騎士団
http://www.geocities.jp/untilled/ep17.htm

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テンプル騎士団-聖杯伝説  第一章  テンプル騎士団の創設
http://www.voynich.com/templar/index.html

テンプル騎士団-聖杯伝説  第二章 聖杯の騎士
http://www.voynich.com/templar/index2.html

テンプル 騎士団-聖杯伝説  第三章  聖杯の物語
http://www.voynich.com/templar/index3.html

テンプル 騎士団-聖杯伝説  第四章  テンプル騎士団の謎
http://www.voynich.com/templar/index4.html

テンプル 騎士団-聖杯伝説  第五章  テンプル騎士団の最後
http://www.voynich.com/templar/index5.html

テンプル騎士団(The Knights Templar) その1  著者:John H. Crowe, III 日本語翻訳:TRAM
http://www.aitealeeso.com/coc/tuo/knightstemplar.htm 続きは中にリンクあり

レジーヌ・ペルヌー 『テンプル騎士団』  松岡正剛
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0477.html

黒マリアとテンプル騎士団-聖者の偶像⑤
http://yumiki.cocolog-nifty.com/station/2005/03/post_7.html


など

by oninomae | 2009-09-24 21:19 | 政治詐欺・政治紛争  

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