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世界統一支配への執念 by 馬野周二 + 勝利のコイン

権力の影 解説 馬野周二 3


世界統一支配への執念


CFRを構想し、組織し、以来七十年にわたり運営してきた、その背景をなす思想はいったいなんなのか。

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政府の部局さえもこんなに長く変わらないで続く例はほとんどないだろう。この機関を分析する場合、その具体的活動に気をとられてばかりいてはならない。どんな機関にしても長期間続くということは、それがきわめて深い思想のもとに設立され運営されていると見なければならぬ

もちろんすでに見たように、CFRは米国の国際政略の私的協議機関であって、その時どきの支配的人脈からなるメンバーが自らが望む国際政略を立案し、協議し、考究するための場である。現実に久しくそのような活動をしてきた。しかし役所でもなく政府の補助金も貰っていないこのような機関が数十年も民間の寄付だけで続いてきたということは、殆ど宗教的ともいえる執念がその背景にあるとみるべきであろう。単なる企業家の集まりとか、あるいはアメリカ資本主義の一つの飾りでは毛頭ない。そんなことでこうも変化なく頑強に続くものではあるまい。

ではいったいその一見擬似宗教とも見える根底思想は何であるのか。読者は本書でそれが一極世界支配の思想であることを見いだすだろう。 此処で私の提出する根本命題は、それが擬似というよりはむしろ正しく「宗教」なりとするものだ。ではいったいその宗教とはどんなものなのか。現在までに私の捜索したところでは、それはタルムードから出ている。  

もとよりこれは私だけが捜し当てたのではない。むしろ多くの先人たちの示すところを私なりに綴り合わせたにすぎぬ。言葉を換えれば、これは一神教より脱胎した、思想というよりは「信仰」と見るべきであろう。

信仰と聞けば何やら古くさいもののように考えるのが現代日本人の見方であるが、本来われわれには歴史的に一神教は存在せず、したがって信仰もない。日本にあるのは、神あるいは仏「信心」であって、これは一神教の信仰とはまったく別のものである。わが国ではこういう信心は年配者か田舎に住んでいる人たちのもので、いまどき社会の第一線で活動している者には無関係だと思っている。 この考えを浅はかに延長して、西洋の信仰も日本の信心とおなじく年寄りの戯言としか受け取らない。ここに日本人の大きな落とし穴がある。

西洋で長く続く組織は、まず信仰から出ているとみてよい。表面からはいろいろな現世的な目的を追っているように見えても、その深い底に一神教信仰が隠れている。低いレベルの関係者はおそらくそのことを意識してはいないのだが、私のみるところCFRは究極的に一極あるいは統一世界支配を目論む者たちがつくり、運転する機関だと考える。もとよりそこへ導く過程としていろいろな工作が必要であり、その方策を素知らぬ顔で練りあげていることは当然だ。

私が此処で指摘したいのは、この一極世界支配志向なるものが超大国アメリカのその力ゆえの自然的展開ではないということである。アメリカは地大博物の国であり、世界に出ていく必要性も必然性も本来ない。その独立宣言に十分に示されているように、彼らはヨーロッパの干渉を排して自分たちだけで理想の国家をつくろうとした。ところが第一次大戦に参戦して以来、世界進出の志向を示してきた。右に述べた考えからすれば、そのいずれも「信仰」から出ていることになる。事実、初期にニューイングランドに渡ってきたのは、宗教的迫害をうけ、自らの信仰を守るために旧大陸を逃れた人たちであった(引用注:宗教からの逃走派が多かったかも)。そして二度の大戦にアメリカを誘い込み、以後今日まで米国の世界的干渉政策を人知れず推進してきたのは、同じく信仰に発する秘密の駆動力による。両者の違いは、その基本理念がキリスト教・新約聖書かユダヤ教・タルムードかにすぎない。

一神教を知らない日本人が理解していないのは、この信仰なるものが宣教という本体性の駆動力に憑かれていることである神道にはこんな厄介な心理はない。生まれ落ちてから日本に育ち日本語を話していると、その心が"日本"になってしまって、朝鮮海峡を越えた他の世界の人たちとはまったく別物になる。はっきりいうと神道の子になるのだ。神道には宣教といった厄介な心理はない。相手を自然に包み込むパッシブな自己拡大の気持ちはあっても、強引に相手を神教徒にしようとはしない。これが古来の日本なのである。

こういう話をすると、必ず温和にあるいは激烈に反論する人が大部分である。日本にも宗教は盛大で折伏などという過激な宣教もついこのあいだまで大いに行われたではないか、あるいは過ぎし悪しき戦争中は、天皇の御為に進んで死んでいったし、ずいぶん人殺しもした。お前のいうことは間違っていると。

ここで詳しい話はできないけれども日本にも随分古くから一神教が入っている。仏教にも一神教の要素がある。これは遠古の中東宗教思想が古くから拡散、伝播していたものと考える他はない。日本に激烈な一神教が入ってきたのは戦国末期で、つまりキリシタン・バテレンである。これは免疫抗体のない体に強い黴菌が入ってきたようなもので、日本はおおいに発熱した。もし秀吉、家康が現れていなかったならば日本はどうなっていたか分からない。バテレン追放と鎖国は絶対に必要であった。鎖国三百年の間に日本的心性は成熟し、大衆がキリスト教化することはなくなった。次に入ってきたのは過激なマルキシズムである。これも一神教のバリエーションで、またまた初な日本人を捕らえた。戦前の政府はこのものの害悪を十分に知り極度に弾圧したが、現代に鎖国することはできない相談で、戦後は焼棒杭に火が付いたことは読者のよく知るところである。今日の韓国では全人口の二〇~三〇パーセントがキリスト教化したといわれている。北朝鮮は共産化した。この意味するところをよく考える必要がある。いずれも一神教から出たものだ。

幕末開国以後多くのいわゆる教派神道が出てきたが、これらは無意識にキリスト教の影響を受けて現れたものであるとみてよい。仏教系にせよ神道系にせよこれらは一神教のまがいであるから、強弱はあれ〈宣教〉をする。

さて横道に入りすぎたが、このCFRの一極世界支配への妄執は単なる政治・経済の現世的欲望から発したものではなく、その底に遠古から尾をひいている一神教信仰の深い影があることを十分に理解しなければ解けない。したがって彼らの存在と活動は、われわれには極めて分かりにくいのだ。

果たしてCFRが一神教宣教のインスティチューションであるならば、われわれはその目で彼らを見なければならない。その姉妹機関である英国のRIIA(王立外交問題研究所)に対しても同断である。

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中曽根元首相を中心として「国際平和研究所」なるものが出来ている。経済界も相当の資金を出しているようだが、このものは明白にこの二者と密接に協力する機関であることは疑いない。つまり自由資本主義国家として、世界三極の一つとしてこのような機関が作られるのは当然の成り行きだとみることもできようが、これが終局的に世界統合、一極支配を目的とする機関であることを誰も知らないのだ。

関係者はこれまでに述べた、あるいは本書で著者が痛切に警告しているこの機関の魔性にまったく気づいていない。彼らは自ら悟らずして日本国家を破壊する反逆者なのだ。一神教の魔性は、われわれの理解を超えていることを知らねばならぬ。危ない、じつに危ない。

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歴史的および国際的連関

このようにしてCFRは一九二一年に発足しているが、その設立と運営の根は深く、二世紀を遡る。

いま私の手もとに<エゴン・シーザー・コルチ[Egon Corti]伯爵>という人の"The Rise of The House of Rothchild"と題する本がある。これは一九二八年にドイツで初版が出版されているが、一九七二年になってWestern Islandsという米国の出版社から英訳が出ている。

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総四百三十ぺージの本であるが、その冒頭五ぺージにわたってこの出版社の編集スタッフによる解題がある。これは米国における今日的状況のなかで彼らがロスチャイルド家をどう分析しているかを述べていて興味深い。ここに書かれていることは日本人のほとんど誰もが知らないことだ。一九二〇年代以降はもちろん過去二世紀にわたってこのロスチャイルド家がいかに世界を根底から動かしてきたかの要点をあげ、それがイルミナティ教団によって指令されているものであることを述べるその要点を次に紹介しよう。

 十八世紀末から十九世紀初めにかけては、西洋の歴史のなかでももっとも重要だがしかしもっとも誤解されている時期である。この期間に一つの陰謀力が現出し、フランスそしてヨーロッパを混迷、ニヒリズム、虐殺そして圧政のなかに叩き込んだばかりでなく、それは極めて活動的で今日の世界における政治界、金融界、さらには宗教界においてさえも支配的なものとなっている。この陰謀は一七七六年五月一日、ワイスハウプトによって基礎がおかれイルミナティ教団と呼ばれた。その宣言された目的は、今もなおすべての政府、国家そして宗教の破却であり、その文明の廃墟の上にイルミナティによって支配される「世界新秩序」を打ち立てることである。 

  ナポレオンは帝政初期には彼らの力を押さえ込んだが忽ち復讐され失脚と配流に遭った。イルミナティ関連の機関であるLeague of Just Menカール・マルクスを雇って共産党宣言を書かせた。十九世紀末の諸革命と暗殺はすべて彼らの仕業である。二十世紀においては国際共産主義者同盟が彼らの主要な露頭した機関であった。

昔日の街頭において革命運動に走り回ったのは単に末端の小者であって(たとえば日共幹部のごとき)、本当に国家、社会、世界を動かしてきたのは、表面は国家、社会の高位、高官、高名者の擬態をとりつつ、そのじつはイルミナティの一員であるという者である

ここで述べられているのは、十八世紀以後の世界がイルミナティによって根底から動かされてきたということであって、そうであれば本書の主題CFRもまた、その外面がいかに無邪気にみえようとも、おぞましきイルミナティ機関であることは疑いを入れまい。 

本書にも触れられているが、誰にしてもまったくわからないのは、なぜ資本主義アメリカの政府首脳(ルーズベルト)が共産主義ソ連と共同して大戦に入り、ヤルタ会談などで考えられない譲歩をしたのかということである。

この謎はじつは簡単なので、彼は、そして当時の米国政府高官の多くはイルミナティの同調者あるいはその操り人形であったということなのだ。このような事情はとくに日本人には理解し難いのだが、これが現代世界の真実である。このことは本書を読み進まれればおわかりになる(引用注:当ブログの以前からの読者はとうにおわかりですが)。CFRも国際連合も、世界銀行IMF、その他もろもろの国際機関、はてはローマクラブまで、そしていま流行りのWWC(国際環境会議)もまた、隠微腕曲ではあれこの世界統一支配陰謀の一環だとは、本書の読者の想像を超えるところであろうが真実とみるべきだろう。

このことはなにもCFR会員がプラット・ハウス(CFRの本部ビル)に隠密に集まり額を集めて世界陰謀の密議を凝らしているというのではない。CFRはそんな低度のものではない。そうではなくて日本でいえば日本クラブとか交詢社あるいは学士会に一種似たもので、しかしさらに制限的なものと考えればよいだろう。もちろん目的は米国の国際政略の論議に限られているのは当然だ。そしてこの面で影響力のある人たちにおのずから一定の方向に向かうように仕向けるのである

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またこの機関は米国の有力者を網羅しているから、彼らを通じて全世界の生の情報を得ることができる。これが陰謀機関である所以はその大局的運営が米国支配中枢の指示によって行われるところにある

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「中枢」とはなにか。これこそがフリーメーソン・イルミナティなのである。こういった関係は米国の国際関係機関の殆どを通ずる性格なのだこれらCFRその他の機関は米国エスタブリッシュメント中枢の隠された糸によって操られているのである。

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(中略)


われわれにとっても世界にとっても、重大なのはこの参謀本部の要務が「一極世界支配」への隠微な誘導だということである。CFR・RIIA・中曽根平和研はこの世界支配への三極機関なのだ。そしてカーター、ブレジンスキーの始めた「三極委員会」なるものはさらに露骨にこの目的に世界を誘導するための装置である。

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われわれは此処でさらにこの「一極支配」なるものの根本理念イルミニズムを、その歴史的根源に遡って洗ってみなければならない。そうするとこのものが数千年前の中東に発することがわかってくる。ここでその詳細を語ることはできないが(末尾文献参照)、新大陸に近々二百年前に現れたアメリカ国家が、じつはその根を時間的に深く地理的に遠く張っていることがわかろう。そしてわが日本もまたさらに深い文明の根を持っていることを知れば、日・米の関係がじつに文明史の根本構造そのものであることが見えてこよう。


将来の投影としての過去

これから本書を読み進まれるにつれて一九二〇年代以降の米国の国際政略が誰によってどう練られ動かされてきたかのパノラマが眼前に展開される。大方の読者にとってそれはまったく思ってもみなかった図であろう。これは日本の読者にとってのみならず、アメリカ人にとっても同断である。これが世界現代史の隠されたからくりだ。 そうであれば誰にせよこれから起こってくる事態を本書に暴かれたことの筋道に照らして類推するだろう。時間は連なっている。過去と将来は断絶せず連続しているのだ。読者に与えられた課題は本書に与えられた歴史的材料からいかに正確に来るべき事態を推理するかである。  

(後略)


ジェームス・パーロフ 権力の影(1988、 馬野周二訳:1992.8) 訳者解説 p30-40 より抜粋



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by oninomae | 2009-04-07 22:35 | イルミナティ  

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