八月七日(火)晴 長崎原爆投下予告 by 黒木雄司

八月七日(火)晴
(前略)
すでに十六時間もたっているのに、大本営から何も発表がないとはどういうことだろうか。それとも明日、詳細発表が行なわれるということなのだろうか。  もう一つ問題なのは、隊長から連隊長経由の原爆関係の諸報告は、果たして大本営まで確実に行っていたのだろうか。あるいは、どこかでだれかが握り潰したのだろうか。

(中略)

午前六時、突如としてニューディリー放送が流れてくる。

こちらはニューディリー、ニューディリーでございます。信ずべき情報によれば、米軍は来る八月九日に、広島につづいて長崎に原子爆弾を投下する予定であることを発表しております。繰り返し申しあげます。

またしても左頭をガツンと殴られた気がする。そういえば九州南部にはたびかさなる爆撃、また北九州地区は八幡を中心に工業地帯を、さらに関門の港湾地帯をたびたび爆撃しているのに、長崎の大造船所のあるところだけは、今度のために残しておいたようだ。

午前八時半下番し、田中候補生と勤務を交代する。勤務は下番したものの、昨日、広島に原爆を落とし、今度は長崎にも落とす暴挙を考えると、自分は胸の中が煮えくりかえる。内務班に帰って睡眠を取ろうとしたが、興奮して眠れない。

(中略)

広島での老若男女を問わずの大量虐殺をして今度はまたも、同じように大量虐殺を長崎でするという。ラジオ放送は一方的だ。なぜ?どうして?と疑問を持っても、答えてくれない。とうとう午前中は興奮してねつかれない。

(中略)

夕食の時に四時に下番した田中に聞くと、
今日、NHKの臨時ニュースで大本営発表が放送されました。それは前日の広島の被害から新型爆弾を使用せるもののごときも、詳細目下調査中というものでありました。これに対し上山中尉殿は、二十四時間以上も経っての発表で、なぜ原子爆弾と発表できぬのか。日本陸軍では昭和十七年ごろから原子核の研究が盛んとなり、かなり開発も進んでいるはずだ、その専門家に調査させれば、すぐわかるはずだ、といわれておりました」という。

新型爆弾といえば新型爆弾だ。しかし、全身火傷しながら今日生きていた者が明日は死に、今週頭の髪が抜けていた程度の者が来週は死に、今月軽い火傷だいっていた者が来月は死に、単なる爆風だけで助かったと今年いっていた者が来年は死ぬる。上山中尉の解説により知り得た知識だが、この毒瓦斯以上の殺人武器を、単なる新型爆弾だけとだけに止めて欲しくない。


黒木雄司 原爆投下は予告されていた 第五航空情報連隊情報室勤務者の記録 p255-257より

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確実に大本営まで、ニューデイリーのニュースは達している。第二総軍からのニュースを加えられて、参謀第二部のニュースとともに、それに加えて、ヨハンセングループを通してのスティムソンからの通信文も・・・すべて大本営に達している。スティムソン->グルー->OSSのジェームズ・ウォーバーグ->白洲次郎->吉田茂->牧野伸顕のルートで、天皇はスティムソンからのメッセージを受けている。

鬼塚英昭 原爆の秘密[国内篇] 第三章 長崎への原爆投下は真珠湾奇襲の復讐である
p125-126 より

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by oninomae | 2008-08-07 00:03 | ホロコースト  

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