日本の医療をグローバルスタンダードに引きずり落とすな TPP参加で確実に生じる医療格差

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/27611

日本の医療をグローバルスタンダードに引きずり落とすな TPP参加で確実に生じる医療格差 多田 智裕 2011.11.01(火)

11月12日から開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が近づいてきました。野田佳彦総理はこの場において、TPP(環太平洋経済連携協定)参加に「大枠合意」の表明をすると見られています。

TPPへの参加を巡っては、貿易自由化を推進すべきだという意見、農業を保護するために参加すべきではないとする意見など、様々な立場から賛否両論の声が挙がっています。以下では、医療に携わる立場から、なぜTPPに参加すべきではないのかを改めて述べてみたいと思います。


金持ちでなければ医療を受けられないのがグローバルスタンダード

TPPは、韓国が米国と結んだFTA(自由貿易協定)と比較されることが多く、一般には「加盟国間で取引される全品目について関税を撤廃すること」と理解されているようです。

しかし、TPPは貿易協定であるFTAとは異なり、「2015年度までに農作物、工業製品、サービスなどすべての商品について、例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃する」ことが目標とされています。

サービスには、金融や医療も含まれますし、その他の貿易障壁には食料安全基準に加えて、法律などの制度も含まれます。ですから、TPPの問題の本質は関税ではありません。

金融・医療・食料・法律を含めた、現在日本に存在するありとあらゆる規制を他国(主として米国)に準じて「現在のグローバルスタンダードである市場原理に任せるのか否か」が問われているのです。

医療に関して言うと、良質の最新医療を受けるならば、多くの家庭では借金しないと支払えないくらいの大金が必要になります。それが、市場原理が支配するグローバルスタンダードに合わせるということです

日本の健康保険制度のもとでは、報酬が点数によってあらかじめ決まっているため、医療機関はたいした利益が上がらないような仕組みになっています。この制度が功を奏して、日本はこれまで「国民皆保険制度」で、世界一安くて質の高い医療をすべての人に平等に行ってきました。

その医療制度が、TPPへの参加によって崩壊するのです。


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大金持ちしか満足な医療を受けることができず、中間層以下の人たちは十分な治療を受けられず、命を落としてしまうかもしれない。そんな医療格差を本当につくってしまってよいのでしょうか。


二重の規制が日本国民の健康を守っている

日本の医療には、他国と比べて決定的に違う規制が2つあります。

1つ目は、国民皆保険が存在するため、すべての国民が公的保険による医療を受けることができるという点です。

2つ目は、市場をほぼ100%独占する国民皆保険の価格を決める全国一律の保険点数により、医療費の水準自体を国家が抑え込んでいる(過去10年で言うとマイナス改訂)ということです。

他国では存在しないこの二重の規制は、50年以上にわたりあまりにも長く、日本では日常的に運営されてきました。そのため、「空気」と同じようになってしまっていて、その恩恵の大きさを認識できていない人たちがほとんどだと思われます。

でも、この日本特有の「統制経済」である国民皆保険により、医療費が払えなくて破産したり、医療費が払えないために十分な医療が受けられないまま命を落としたりする事態は、日本においてはほぼ皆無なのです

そもそも、医療における規制は、医療を受ける人を守るために存在しています。その根本を無視して、「医療界は規制で『保護』されている」と議論されているのを見るのは、医療従事者として悲しい限りです。


「現時点では交渉対象ではない」は詭弁である

政府はTPP参加を巡る議論の中で、医療について「現時点では営利企業の参入や混合診療解禁は議論の対象外である」と説明しています。これでは多くの人が、「なんだ、今まで通り日本の国民皆保険は守られるじゃないか」と考えてしまうでしょう。

しかし、TPP参加国の中で、国民皆保険で株式会社の医療への参入を阻害し、混合診療を禁止して、医療価格を全国一律の保険点数で統制し抑え込んでいる国は、日本以外にはありません。

日本がまだ参加していない時点では、「交渉対象にすらなっていない」のは当たり前なのです。

さらには、TPPを巡る交渉の場では、参加国すべてが合意しなければならないのです。他の国とは全く異なる医療制度を持つ日本が、TPP参加表明をするということは、「医療についても現在参加している国々に合わせて変化させることを表明した」のとほぼ同義であると、私は思います。

政府の「現時点では交渉対象ではない」というコメントは、とんでもない詭弁なのではないでしょうか

価格統制がなくなると医療費はとめどなく上昇していく

「すべての規制をなくす」という自由市場主義のもとでは、国民皆保険も、医療の全国一律の点数制度も、営利企業が医療サービスで利益を上げる際の「障害」に他なりません。よって、TPP参加は、国民皆保険制度を崩壊に至らしめることになるでしょう。

加えて、みなさんに知っておいていただきたいのは、「自由な市場に委ねれば競争原理が働いて価格が下がる」ことは、医療では起こり得ないという事実です。

医療は高度な専門性に立脚しており、情報面において患者は圧倒的に不利なため、価格メカニズムが十分に働かないからです。

世界一高い米国の医療費が証明しているように、医療費は国家の価格統制なしには、とめどなく高騰していくのです。

日本が世界に誇るべき医療制度(国民皆保険と保険点数による「全国統一の規制価格」)は、持続できるかどうかの瀬戸際に立たされていると言っても過言ではありません。

今後の交渉次第とはいえ、政府から日本の「国民皆保険」を守るビジョンが示されることなく、必要な予算措置もなされないのであれば、行く末は見えています。

TPP参加により国民皆保険は崩壊、医療費は高騰し、医療を受けられない人たちが続出するでしょう。それがグローバルスタンダードに合わせるということなのです。



関連

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市場原理が医療を滅ぼす

頻発する株式会社病院の「犯罪」、財力に基づく凄惨な医療差別…、市場原理の下で、米国医療はどうゆがめられてきたか?! 米国の事例を紹介しつつ、「混合診療解禁」、「医療機関経営への株式会社の参入容認」など、医療における「ビジネス・チャンスの創出」を目論む勢力が主導する改革論議に警鐘を鳴らす。これを読まずして医療改革は語れない。

第1部 市場原理の失敗―反面教師としての米国医療(ウォール・ストリート・メディシン―株式会社病院の「犯罪」;シンデレラ・メディシン―無保険者残酷物語;利害の抵触―コーポレート・グリード(企業の欲望)がゆがめる医療倫理  神の委員会―公正な医療資源の配分をめざして ほか)

第2部 医療制度改革がめざすべきもの―銭勘定でない改革論議のススメ(日本の医療費は過剰か?;先送りされる高齢者医療保険制度の改革;市場原理の導入は日本の医療を救うか?;保険者機能強化は日本の医療を救うか? ほか)


《目次》
第1部 市場原理の失敗-反面教師としての米国医療
 I ウォール・ストリート・メディシン-株式会社病院の「犯罪」
 II シンデレラ・メディシン-無保険者残酷物語
 III 利害の抵触-コーポレート・グリード(企業の欲望)がゆがめる医療倫理
 IV 神の委員会-公正な医療資源の配分をめざして
 V 医療過誤-市場と訴訟に基づくシステムの失敗

第2部 医療制度改革がめざすべきもの-銭勘定でない改革論議のススメ
 VI 日本の医療費は過剰か?
 VII 先送りされる高齢者医療保険制度の改革
 VIII 市場原理の導入は日本の医療を救うか?
 IX 保険者機能強化は日本の医療を救うか?
 X EBMをコスト抑制の具とする滑稽
 XI 手がつけられるところから始める医療改革-患者アドボカシー
 XII 日本の医療は守れるか?-第一線で活躍する医師との対話

あとがき-ビジネスの論理VS医療の倫理

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李啓充さん

李 啓充(リ ケイジュウ) 1980年京都大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院でジュニアレジデントとして臨床研修を終えた後、京都大学大学院医学研究科で癌研究に従事。’90年よりマサチューセッツ総合病院(ハーバード大学医学部)で骨代謝研究に従事し、現在ハーバード大学医学部助教授。’96年より米国医療に関する執筆活動を開始、そのテーマは歴史物から最新の医療事情を紹介するものまで幅広い。特に“医療過誤防止”“マネジドケア”等を取り上げた著作では、現代医療の根本問題に鋭く迫り、日本の読者に警鐘を鳴らし続けている。本書以外の著書に「市場原理に揺れるアメリカの医療」,

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訳書に「インフォームド・コンセント」。(以下略)




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《目次》
第1章 米国医療の実際、知られざる実態
 1.マーケットが牛耳る米国医療、けれども
 2.米国医療を形成する各団体。こうやって米国の医療は組織されている。
 3.医療訴訟、そのあまりに大きな影響力
 4.米国の医者は本当に優秀なのか?:
  米国医療は本当にエビデンス・ベースドなのか。EBM神話を問う。
 5.こんな医者もいる、米国医師といっても千差万別:グローバルスタンダードは掛け声だけ
 6.米国は何を目指し、どのような医療を模索しているのか:苦悩に喘ぐ米国医療行政
 7.世界から見た米国医療: グローバルスタンダードを銘打っているのに誰にもまねのできない、誰も真似をしたがらない医療。日本からの視点はなんともユニークで。
 8.米国医療よもやま話

第2章 感染症科医というお仕事:感染症科フェローの愉快な毎日

第3章 9.11を越えて

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ワクチンおじさんが、自分で言っているわけですが・・・

ほか





横浜市内栽培の干しシイタケからセシウム1181~2770ベクレル 11月 4th, 2011 | Posted by nanohana
http://nanohana.me/?p=6968

tvkニュース 11/11/4(金)22:09

横浜市戸塚区舞岡町にある舞岡公園で、栽培・加工された干しシイタケから、国の基準を上回る放射性セシウムが検出されました。

舞岡公園では、市民が自然体験を楽しめるよう公園の一部で数十種類の野菜などを栽培していて、市民からの不安の声を受け、公園を管理する指定管理者が先月、収穫・加工した干しシイタケの検査を民間に依頼しました。 その結果、国の暫定基準の500ベクレルを上回る、1キロ当たり1181ベクレルの放射性セシウムが検出されました。

さらに舞岡公園では4月上旬にも干しシイタケを加工していて、残っていた干しシイタケを横浜市が検査した結果、1キロ当たり2770ベクレルの放射性セシウムが検出されました。 この干しシイタケは、4月から10月にかけて農作業のボランティアらに振る舞う鍋の材料に使われていて、のべ794人が多い人で2回、食べたということです。そのうちのべ258人は小学生以下の子供でした。横浜市は「2回食べていたとしても食品で自然に被ばくする数値を下回っているので、健康への影響は低い」と説明しています


ハッキリしたこと(1) 東電と1年1ミリ
http://takedanet.com/2011/11/post_aed6.html

(原発事故から8ヶ月。ハッキリしてきたことがあります)

東電の原子力関係の重役と部長クラス以上はすべて退任、退職するべきと考えます。法律上、可能なら全員を逮捕すべきです。

理由は簡単で、1)事故前、東電は1年20ミリの被曝の許可を得ている原発作業員の被曝を1年1ミリに制限していた!! 2)それを実施するために原発の従業員を3万8000人から8万2000人増やし、その人件費を電気代として国民に負担させていた!! 3)文科省大臣が「福島の子供に1年20ミリ」と言ったときに反対をしなかった!! ということです。

人間は「自分の意思」を行動に移すものです。特に東電の役員や部長クラス以上というと日本の指導層ですから、その行動に社会的責任があって当然です。 東電社員が1年20ミリの枠を持っていて、それを1年1ミリに制限していたのは「東電の意思」です。

「意思」というのは「自分でそう考えている」ということです。そしてそれに要した費用は自分で負担せずに国民に負担させていたのですそれを事故が起こって自分の発電所の不始末で国民に被害を与えるようになると、1年20ミリでも良い(黙っている)というのは「人間ではない」のは確かです。詐欺罪ではないか??

人間で無い人が地域独占の電力の役員や部長をしていることはできません。退任、退職してください。そして私財で、1)今までの人件費の増分のお金を補填し、2)福島の子供の19ミリ分をとりもどすべきです。絶対に、免れることはできません。

こんなダブルスタンダードを行う人はとにかく明日から去ってください。また、私たちの情報としては、「東電のように放射性物質を扱っている会社は、1年20ミリの枠を持っている成人男子(幼児の3分の1の感度)でも1年1ミリまでが限度だ」と東電自身が考えていたということです

このことについて「1年1ミリ以上でも大丈夫」と言っている自治体の役人はすぐその理由を説明してください。素人が1年何ミリなら5歳の子供が15歳で病気にならないなどと判断できるはずもありません。

法律も1年1ミリ、国際合意も1年1ミリ、東電も1年1ミリで、なぜ福島の子供たちが1年20ミリで、給食の食材がセシウムだけで1年5ミリで「大丈夫」と言うのでしょうか。

あなた方(東電、役人)は子供の将来に責任は持てません。神様ではありません。早速、東電の人は退任、退職し、自治体は詳細マップと除染を必死で進めてください。特にこれまで「大丈夫」と言ってきた人は罪を償ってください。

(平成23年11月4日) 武田邦彦
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by oninomae | 2011-11-04 22:26 | 政治詐欺・政治紛争  

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