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インサイダー 2 訳者はしがき by 湯浅慎一

「民主」党の季節ですので、ここで「古典」を振り返ってみましょう。

インサイダー 2 訳者はしがき by 湯浅慎一

いま私は、本書が大いに負っているキャロル・キグリー教授の一三四八ぺージにも及ぶ大著『悲劇と希望』(Carrol Quigley: Tragedy and Hope. A History of The World in Our Times)の九四九ぺージを開いている。

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彼はそこで次のように述べている。

現代のアメリカの歴史は、国内および外交関係の改革の面で、極左のよく組織化された陰謀と連動して、ホワイトハウスを中心とする勢力が、私的イニシァティヴ、レッセ・フェール、孤立主義に基礎を置くアメリカ的生活様式を、ロシア的杜会主義の連合と英国の世界主義(あるいは国際主義)に好都合な方向に、破壊してきた--このような考えを極右の神話としようとする多くの集団がある。

この陰謀は、ニューヨーク・タイムズ、ヘラルド・トリビューン、クリスチャン・サイエンス・モニター、ワシントン・ポストなどの大マスコミ杜、そしてハーヴァードとロンドン・スクール・オブ・エコノミーの杜会主義的理論家によって組み立てられている。彼らこそ、アメリカ的生活様式を破壊するために、合州国(1)を英国側(ルーズヴェルトの初恋)とロシア側(彼の第二の恋)に立って、第二次世界大戦の中に連れ込み、日本を真珠湾攻撃へと誘い、蒋介石を打ちのめさせ、国内では増大する支出とアンバランスな予算でアメリカの真の力を弱めてきたのであった。

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キグリー教授は、この「神話」には多くの真実が含まれていると主張する。そして彼によれば、この陰謀は極右が考えているような共産主義の陰謀ではなく、円卓集団として確認されていたもののネットワークによるものなのだ

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私(訳者)は、この集団の由来については『インサイダー』パート・1で若干紹介されているので、ここでは触れない。ここでは、これが英国で生まれ合州国を含めて多くの英語圏に広がり、第一次世界大戦の終わり頃に、本書の主題である合州国の外交問題評議会(CFR:Council on Foreign Relations)という「民間団体」へと発展していったとだけ言っておこう。

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日本にもCFRのインサイダーと同様に、CFRの陰謀性を否定する人びとがいるが、合州国の政党政治の原理を完全に吹き飛ばすように、いかにすべての政権の中枢部にCFRが食い込んでいるかを確認する本書は、さきの陰謀否定論を雄弁に否定しているのではあるまいか。

また、本書を読むと、CFRの会員が多くの場合、同時に三極委員会(日米欧三極委員会TC:Trilateral Commission)[1973年発足]の会員でもあることに気づく。
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では、この委員会とはどういうものであろうか。

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欧州では90年代中頃に中欧諸国から、北米では2000年にメキシコから参加者があり、2000年以降にアジア太平洋地域の参加国が拡大されることから[6]、日本委員会はアジア太平洋委員会となった。それにともない日本語名称は「日米欧委員会」から「三極委員会」に改称された。中国とインドは2010年の欧州会合から参加するとされているが、情勢によっては2009年の東京会合からとなる。
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チャールズ・レビンソンはその著書『ウォッカ=コーラ』(Charles Lewinson: Vodka-Cola, 清水邦男訳、日本工業新聞杜)で次のように説明している。
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三極委員会はデヴィッド・ロックフェラーがその案を作り、一九七二年の暮に、フィレンツェにある欧州大学EUI:European University Institute)の理事長マックス・コーンスタム(Max Kohnstamm、オランダ人)とジョージ・フランクリン(George S. Franklin、CFR)との会談で決まった。

その公式の目的は、民主主義の行き過ぎを裁き、左翼の攻撃から西側に共通な価値体系を守ることにある。このアメリカ側の会員は本書に載っているので、同書からここにヨーロッパ側の主な会員を記そう。ジョバンニ・アニェリ(フィアット杜会長)、クルト・ビーレンバッハ(西独連邦議会議員、キリスト教民主同盟に属し、元閣僚。製鉄グループのテュッセン杜会長)、ピエール・ジューパン(仏ペシネー・ユジーヌ・クールマン杜会長)、ランバート男爵(銀行家)、ジョン・ラウドン(ロイヤル・ダッチ・ペトロリアム社会長)、エリック・ロール卿(英ウォーバーグ銀行取締役、イングランド銀行元総裁)、ハンス・グンター・ゾール(西ドイツ工業連盟会長)、レディ・ゲダー卿(英ダンロップ社会長)、ジュゼッペ・グリセンチ(伊リナセンテ杜重役)、ジャック・ド・フーシエ(仏パリバ銀行会長)、フランク・ロバーツ卿(ユニリーバ社とロイド銀行の会長)、エドモンド・ド・ロスチャイルド、オリビエ・ジスカールデスタン(仏コンパニー・フィナンシエール社会長)、レイモン・バール仏首相。ジャーナリストにはアリゴ・レヴィ(アニェッリ所有のラスタンパ紙)、テオ・ゾンマー(ディ・ツァイト紙)などがいる(同邦訳書、第二巻一二〇-一二一頁参照)。以上はレビンソンの調査によるものだが、日本側のメンバー*については、賢明なる読者諸氏独自の調査力にお任せする。

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2008年最新版 三極委員会メンバー一覧 中田安彦
http://amesei.exblog.jp/8752995/


The Trilateral Commission Executive Committee
http://www.augustreview.com/knowledge_base/getting_started_with_globalism/trilateral_commission_membership_-_2008_20081010103/

*この中の、Pacific Asian Groupにあります。
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では、本書が指摘するように、なぜ三極委員会がきわめて今日的であるのか。それは、CFRがアメリカの組織であり、ビルダーベルク集団(2)が西ヨーロッパの組織であるのに対し、「世界の統一(One World)」計画の小道具としてしかその役割を果たしてこなかった日本が、この三極委貝の一極を担う者として(引用注:「財布として」でしょう)初めて登場したということである。

このシナリオによれば、日本の為政者がアメリ力の大統領と同様、いかにロ先で右派的に民族性を強調しても、日本は確実にその主権を失って、「国際国家」(世界国家の一部)へと変容して行かなければならないというものだ。

そして国民はそれへとまず教育されなければならない。そしてそのとき、人類の生き残ることを至上命令とする「新しい世界の秩序」への憧れへと導かれるであろう。ところが、第一次世界大戦後は「民族の自決」という自律性が、第二次世界大戦後は「植民地の解放」という自律性が強調されたので、いまや「世界の統一」(シナルキー)は(西側では)公言さるべき原理ではなくなっている。それゆえ、世界の統一論者(シナルキスト=One worlder)はこのように手のこんだ方法を選ぶのだろうか。


本書の著者エブラハム氏によれば、インサイダーは、たとえばとくにその操り人形であるカーターを通じて、ソ連に有利にアメリカの力を弱めつづけてきた。一体なぜか。(中略)


本書は『インサイダー』パート・1の続編であるが、この原題「誰もそれをあえて陰謀とは呼ばない」(None Dare Call It Conspiracy)から
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None Dareが取れて、「それを陰謀と呼ぼう」(Call It Conspiracy)に変わっている。
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それは、初版以後の十四年間に『インサイダー』が明らかにした陰謀が、アメリカを中心とする諸国ではもはや「極秘事項」であり続けることができなくなってきたからである。私も現に、この原書をなんとニューヨークのロックフェラー・センター内の666ビルの書店で見かけた(発行当時はどこの書店にもなかったそうである)。

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いまや公然たる陰謀である。 『インサイダー』はアメリカでは数百万の人に読まれ、ゲイリー・アレンが望んでいた通り、テレビ討論や選挙戦のテーマにもなったそうである。

それに比べて日本でよく読まれるものは、歴史的考察も、歴史観も、倫理観も、資料批判も、したがってまったく脚注もない、ただ抑制のないファンタジーと、無気力な終末願望と、根拠のないルサンチマン(うらみ)を推進力とする陰謀風予言書(ほとんど脅しに近い)か占い書ばかりで、そこには本書にあるよう精神の自由への強い憧れを感じさせない。われわれ日本人の「知的水準」はどうなっているのだろうか。

他方、教壇正統派は自分があたかもインサイダーであるかのように陰謀論の可能性をさえせせら笑い、教科書的真理を教条主義的に唯一の真理と主張する。彼らは自分たちの眼から隠されて見えないものは「在ってはならない」のであり、それゆえ、「無い」と独断する(真相を隠している者が「無い」というのは理解できるが)。われわれは日常的な人間関係においてや組織人として、多くの秘密をもち、けっこう陰謀めいたことを実践している。それにもかかわらず、規模が巨大な歴史的事件や政治には陰謀はあってはならないと思い込むのは、まったく自己反省を欠いたあまりにも素朴な態度ではなかろうか。

本書のエピローグを書いているゲイリー・ノースの言葉からは、本書が巻き起こした運動は本質的に倫理的なものであることがうかがい知れる。 単なる政治的・経済的諸利益間の闘争ではないらしいのである。

それゆえに・キグリー教授は結論として次のようにいう。十九世紀的文明の悲劇的性格は、五千万以上の人命を消滅するという第二次世界大戦に頂点に達した。二十世紀の希望は、これらの戦争と不景気は人工的(Man-made)で、また不必要なものであったということを承認するところに生ずる。戦争と不景気は、寛容、同情、協力、合理性、そして将来への洞察によって、また愛、精神性、博愛、そして自制が人間的生活で果たす重大な役割を見出すことによって避けられ得るのだ……(一三一〇-一三一一一頁)。

二十世紀も終わろうとしている。第二次世界大戦後の人間生活を診断すれば、キグリー教授が指摘する十九世紀の悲劇的性格はいぜんとして存続していることを認めざるを得ない。 しかも流行の文明論もこの悲劇的性格、つまり文明の病理学的側面を無視しているのではないか。歴史を観るとき、そしてそこに陰謀性を発見するとき、われわれはキグリー教授の教えるように、人間の高慢と愚かさと冷酷さがその栄養源であることを洞察しなければ、陰謀が陰謀を生み、集団的憎悪となって再び歴史的大破局を迎える
                
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                二十一世紀になってもですが

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注 ()は訳注、〔〕は原注=以下同様

(1) U・S・Aをその連邦制の意味をいかして、アメリカ合衆国ではなく、あえて「アメリカ合州国」と訳した。以下同様。

(2) 一九五四年五月に、オランダのオーステペークにあるホテル・ド・ビルダーベルクで第一回集会が開かれ、世界政府樹立をめざす西ヨーロッパの政治およぴ金融の分野で指導的な立場にある人物を会員とする集団
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その生みの親は、オランダのベルンハルト皇太子[1911-2004]である(『インサイダー』バート・1、一五三-四頁参照)。ベルンハルト皇太子はその後、ロッキード事件で降り、(1986)現在は元ドイツ連邦共和国大統領のヴァルター・シェールが会長の席を占めていると思われる。なお、その後の開催年と開催地は次のとうりである。
一九五五年=バルビソン(フランス)とガルミッシュ、ハルテンキルヘン(ドイツ)、一九五六年=フレーデンボルド(デンマーク)、一九五七年=セイント・シモンズ島(アメリカ)とフュギ(イタリア)、一九五八年=バックストン(イギリス)、一九五九年=イェシルコイ(トルコ)、一九六〇年=ブルゲンシュトック(スイス)、一九六一年=セイント・カスチン(カナダ)、一九六二年=サルトスヨパーデン(スウェーデン)、一九六三年=カンヌ(フランス)、一九六四年=ウィリアムスバーグ(アメリカ)、一九六五年=ヴィラ・デスト(イタリア)、一九六六年=ヴィスバーデン(ドイツ)……(Foreign Affairs Letter de Hilaire du Berrcer. avril 1966 より)。


L・アブラハム インサイダー2 (訳書:1987.1) 訳者(湯浅慎一)はしがき p.1-8より

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オバマ新大統領は、植民地管理用コロンビア大学で、ブレジンスキーの弟子だったようですね。
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                 いつ準備したのかって?

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by oninomae | 2008-11-30 05:50 | イルミナティ  

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